ユネスコ無形文化遺産代表一覧表に「Hezhen Yimakan storytelling」登録
インドのニューデリーで開かれているユネスコ無形文化遺産保護政府間委員会で木曜日、中国が提案した「Hezhen Yimakan storytelling」が「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表(Representative List of the Intangible Cultural Heritage of Humanity)」への登録を承認されました。これまで「緊急に保護を要する無形文化遺産の一覧表(List of Intangible Cultural Heritage in Need of Urgent Safeguarding)」に掲載されていた要素が、代表一覧表へと移行したかたちです。
何が決まったのか:二つの一覧表のあいだで起きた変化
今回の決定は、ニューデリーで開かれている第20回ユネスコ「無形文化遺産の保護に関する政府間委員会(Intergovernmental Committee for the Safeguarding of the Intangible Cultural Heritage)」の会合で行われました。
対象となったのは、中国が提案していた無形文化遺産である「Hezhen Yimakan storytelling」です。すでにユネスコの無形文化遺産として認められていましたが、その位置づけが次のように変わりました。
- これまで:緊急に保護を要する無形文化遺産の一覧表
- 今後:人類の無形文化遺産の代表的な一覧表
「緊急に保護を要する一覧表」は、消滅の危機にある伝統的な文化を対象とし、保護措置を集中的に進めるための仕組みです。一方、「代表一覧表」は、人類の文化の多様性を象徴する生きた伝統を国際的に可視化する場とされています。
そのため、今回の移行は、この物語文化を守る取り組みが一定の成果を上げ、より安定した継承の段階に入ったと評価された結果とも受け取ることができます。ただし、代表一覧表に載ったからといって、保護の必要性がなくなるわけではなく、引き続き長期的な継承が問われます。
ユネスコ無形文化遺産とは何か
ユネスコの「無形文化遺産」とは、建物や遺跡のような「形のある」文化財ではなく、次のような「生きた文化の営み」を指します。
- 物語や口承の伝統
- 舞踊や音楽などの芸能
- 儀礼や祭礼、年中行事
- 伝統的な技術や手仕事
特徴的なのは、こうした文化が「いま現在も人々によって実践されていること」が重視される点です。ユネスコの政府間委員会は、各国からの提案を審査し、無形文化遺産の一覧表への記載や、その後の保護状況を定期的に確認していきます。
今回のように、すでに「緊急保護」の対象となっていた要素が代表一覧表に移ることは、無形文化遺産が「登録されて終わりではない」ことを象徴しています。現地の人々の実践や教育、政策など、日々の積み重ねによって状況が変化しうるということです。
「Hezhen Yimakan storytelling」という物語文化
「Hezhen Yimakan storytelling」は、その名のとおり、物語を語り継ぐ文化的な実践です。語り手が物語を声で伝える、口承の伝統だといえます。
このような口承の文化は、書物や映像に残りにくく、担い手が減れば急速に失われるおそれがあります。そのため、ユネスコの無形文化遺産制度では、ストーリーテリング(物語語り)のような実践が重要な対象の一つとなっています。
今回、緊急保護の一覧表から代表一覧表に移ったことで、「Hezhen Yimakan storytelling」は、人類共通の文化遺産の一つとして、より広く共有される位置づけになりました。同時に、地域社会のなかでどのように若い世代へつないでいくのかという問いも、これから一層意識されていきそうです。
ニューデリーで開かれた第20回政府間委員会の意義
今回の決定が行われた第20回政府間委員会は、ユネスコの無形文化遺産制度を運営する中核的な場です。インドの首都ニューデリーに各国代表が集まり、無形文化遺産の審査や、保護の取り組みに関する議論を行っています。
委員会の役割は、単に新たな無形文化遺産を増やすことにとどまりません。
- 各国から出された提案を審査し、一覧表に記載するかどうかを決定する
- すでに登録されている要素の保護状況をモニタリングする
- 良い実践事例を共有し、各国の取り組みを後押しする
「Hezhen Yimakan storytelling」のように、ある無形文化遺産の位置づけが変わる事例は、こうした委員会の長期的な役割をわかりやすく示すものといえます。
デジタル時代にあらためて問われる「語り」の価値
スマートフォンで動画や音声コンテンツを日常的に楽しむ私たちにとって、「物語を聴く」という行為は、ある意味でとても身近な体験です。一方で、特定の地域や集団の歴史や世界観を、世代から世代へと直接の語りで伝える文化は、デジタル化のなかで姿を変えつつあります。
ユネスコの無形文化遺産として登録されるストーリーテリングには、単なるエンタメ以上の意味があります。そこには、ことば、リズム、語りの場の空気感など、その場に居合わせた人たちだけが共有できる時間が積み重なっています。
今回の「Hezhen Yimakan storytelling」をめぐる動きは、こうしたローカルな「語り」が、世界的な注目の対象にもなりうることを示しています。同時に、日々ネットで無数の物語に触れている私たちにとって、自分の足もとにある語りの文化に目を向けるきっかけにもなりそうです。
SNSでシェアするときの一言例
「ユネスコ無形文化遺産の代表一覧表に『Hezhen Yimakan storytelling』が登録。危機リストからの移行が示す、物語文化の持続可能性について考えさせられる。#ユネスコ #無形文化遺産 #物語」
Reference(s):
Hezhen Yimakan storytelling inscribed on UNESCO Representative List
cgtn.com








