中国本土の未来経済:「新質生産力」で描く第15次五カ年計画 video poster
2025年10月、北京で開かれた中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議は、2026〜2030年を対象とする第15次五カ年計画の青写真を示しました。キーワードは「現代的な産業体系」と「新質生産力」。中国本土の経済運営だけでなく、今後の世界経済の行方を考えるうえでも注目される動きです。
第15次五カ年計画の青写真:現代的な産業体系づくり
今回の全体会議で示された第15次五カ年計画の中心には、「現代的な産業体系を構築し、実体経済の土台を強化する」という目標があります。ここでいう実体経済とは、製造業やサービス業など、モノやサービスの生産と提供を伴う経済活動全体を指します。
計画の狙いを整理すると、次のようにまとめられます。
- 産業構造をアップグレードし、より高い付加価値を生む「現代的な産業体系」を整える
- 実体経済の基盤を固め、長期的に安定した成長を支える力を高める
- 技術革新と産業政策を連動させることで、経済全体の生産性を引き上げる
こうした方向性は、中国本土の経済運営を財政や金融だけでなく「産業そのものの質」によって支えようとする姿勢を示していると言えます。
12〜14次五カ年計画からの連続性:新型工業化の進行
中国本土は、第12次、第13次、第14次の各五カ年計画を通じて、「新型工業化」を着実に進めてきたとされています。その中心にあったのが、技術革新と産業高度化を一体で進めるアプローチです。
具体的には、次のような流れが強調されています。
- 研究開発やデジタル技術などの技術革新を重視する
- 既存産業の高度化や効率化を図ることで、産業全体の質を高める
- その結果として、新たな国内需要や雇用の機会が生まれ、世界経済にも一定の影響を及ぼしてきたと位置づけられている
第15次五カ年計画は、こうした流れを前提としながら、次の段階に進むための「次世代版」のロードマップとして構想されています。
新たな技術革命の波と「新質生産力」
現在、世界ではデジタル技術や先端製造技術を軸にした技術革命と産業変革の新しい波が広がっています。こうした中で、中国本土は「この局面を逃さずに捉える」として、次の三つを重点方向として掲げています。
- イノベーション(技術革新)の一層の深化
- 実体経済のいっそうの強化
- 新質生産力の加速的な発展
ここで注目されるのが「新質生産力」というキーワードです。これは、単に生産量を増やすというよりも、技術や知識、デジタル化などを活用し、より高い効率と付加価値を生み出すタイプの生産力を指す概念として用いられています。
新質生産力のイメージをかんたんに言い換えると、次のようになります。
- 規模よりも「質」と「効率」に重心を置いた生産活動
- 研究開発やデータ活用など、知識集約型の要素が大きい
- 産業構造の高度化と結びついた、新しい成長エンジン
第15次五カ年計画では、この新質生産力をどのように育て、実体経済と結びつけていくかがひとつの焦点になります。
実体経済の土台をどう強化していくのか
新質生産力を発揮するためには、それを受け止める実体経済の土台が欠かせません。計画の文脈では、実体経済の強化は次のような方向性を含んでいると考えられます。
- 製造業やサービス業など、基幹産業の競争力を高める
- 技術革新の成果を、実際の工場や現場の生産性向上につなげる
- 産業全体の安定性を高め、外部環境の変化にも対応しやすい構造を整える
新型工業化と新質生産力の推進は、こうした実体経済の土台づくりとセットで進められることが想定されています。
世界とアジアにとっての意味:静かに広がる波及効果
中国本土の第15次五カ年計画は、国内向けの発展戦略であると同時に、世界やアジアの経済にも静かな影響を及ぼす可能性があります。現代的な産業体系づくりや新質生産力の育成は、多くの国や地域との貿易や投資、技術協力の形を変えるきっかけになり得るからです。
特に、次のような点は国際ニュースとしても注視されそうです。
- どの分野で技術革新と産業高度化が優先されるのか
- 実体経済の強化が、サプライチェーンや物流の再編にどうつながるのか
- 新質生産力の育成が、国際的な産業協力やビジネスチャンスにどのような形で現れてくるのか
これらは、アジアを含む各国・地域の企業や投資家にとっても、中長期の戦略を考えるうえで意識しておきたい視点です。
「次の5年」を読むための視点
今回の全体会議が描いた第15次五カ年計画は、要約すると「新質生産力を軸に、現代的な産業体系と強い実体経済を築く」という方向性を打ち出しています。第12次〜第14次五カ年計画で進めてきた新型工業化を土台にしながら、技術革新と産業高度化をより一体的に進めていく姿勢が示された格好です。
今後、具体的な数値目標や個別の政策が示されていく過程で、第15次五カ年計画の輪郭はさらに鮮明になっていきます。そのとき、「新質生産力」「現代的な産業体系」「実体経済の強化」という三つのキーワードがどのように位置づけられ、どの分野で具体化していくのかは、中国本土の経済だけでなく、世界やアジアのビジネスや社会にも静かな変化をもたらす論点になっていきそうです。
Reference(s):
China's future economy: Unleashing new quality productive forces
cgtn.com








