故宮の「乾隆花園」一部公開、100年の節目に見えた“隠れた庭” video poster
2025年は故宮博物院にとって開館100周年の節目の年です。そうしたタイミングの中、寧寿宮花園(乾隆花園)のうち最初の2つの中庭が、9月に一般公開されました。これまで限られた人しか目にできなかった空間が開かれたことで、紫禁城(故宮)の歴史の「奥行き」が、より具体的に感じられる出来事として注目されています。
乾隆花園(寧寿宮花園)とは何か
乾隆花園は、紫禁城の北東部に位置する庭園建築群で、乾隆帝が「退位後の理想の隠居の場」として構想したとされます。一般的に“庭園”という言葉から想像する緑地だけでなく、精緻な意匠の建築、回遊できる空間構成、細部の装飾などが一体となった、いわば生活と美意識の総合空間として語られてきました。
9月に公開されたのは「最初の2つの中庭」
今回公開されたのは、寧寿宮花園(乾隆花園)のうち最初の2つの中庭です。公開範囲は限定的とはいえ、一般の来館者が実際にその場を歩き、視線の移動や距離感の中で建築の緻密さを体験できる点が大きな意味を持ちます。
とりわけ乾隆花園は「見た目の華やかさ」だけでなく、空間の区切り方や導線、装飾の配置など、近くで観察してはじめて立ち上がる魅力があるとされます。今回の公開は、故宮の見学体験が“代表的建築の鑑賞”から、より細部へと進む入口にもなりそうです。
修復は「世界遺産級の保存」と向き合う共同作業に
乾隆花園の修復は、世界記念物基金(World Monuments Fund)と故宮博物院による共同の取り組みとして進められたとされています。歴史的建造物の修復は、単に新しくするのではなく、材料や技法、経年変化の扱いまで含めて、文化財としての真正性(オリジナル性)と安全性の両立を図る必要があります。
今回の公開は、そうした地道な作業の“成果の一端”が、来館者の目に触れる形になった出来事とも言えます。
なぜ「今」公開がニュースなのか
2025年は故宮博物院の100周年という区切りがあり、文化施設としての節目に合わせて「普段は見えにくい場所」が社会に開かれることは象徴的です。さらに、修復と公開はセットで語られがちですが、公開が始まってからこそ、保存と活用のバランス、混雑や導線、鑑賞環境など、運用面の課題も現実のものになります。
今回の乾隆花園の公開は、歴史建築の価値を“保存する”だけでなく、“どう見せるか”まで含めて問う出来事として、静かに注目を集めています。
現地報道:歴史的な公開として紹介
中国メディアCGTNは、記者の楊妍(Yang Yan)氏によるリポートとして、この公開を歴史的な節目の出来事として伝えています。乾隆帝が思い描いた「夢の隠居地」という由来とともに、精巧な建築が一般来館者に開かれた点が強調されています。
今後、公開範囲がどのように広がるのか、そして“特別な空間”を日常の鑑賞体験へ落とし込む運用がどう設計されるのか。100周年の今年、故宮の時間の層に触れる入口として、乾隆花園の動きはしばらく追いかける価値がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








