中国本土がEU産豚肉に反ダンピング関税 5年間の追加課税へ
中国本土の商務部は、欧州連合(EU)産の豚肉および豚副産物の一部に対し、反ダンピング関税を課すと発表しました。関税は水曜日から発効し、EU企業ごとに4.9%から19.8%の税率が設定され、5年間適用される見通しです。
何が決まったのか:措置のポイント
今回の反ダンピング関税は、中国本土への豚肉関連の輸入を対象とした貿易措置です。商務部の発表内容を整理すると、主なポイントは次のとおりです。
- 対象となるのは、欧州連合(EU)から輸入される豚肉および豚副産物の一部
- EU企業ごとに異なる税率が適用され、その幅は4.9%〜19.8%
- 関税は水曜日から発効し、期間は5年間
- 中国本土の国内産業に「実質的な損害」を与えるダンピングがあったと判断
商務部は、反ダンピング関税の導入によって、中国本土の豚肉関連産業を不当に安い輸入品から保護する狙いがあるとしています。
2024年から続いた反ダンピング調査
今回の決定は、2024年6月17日に始まった反ダンピング調査の結果を受けたものです。調査は、中国本土の業界団体である「China Animal Agriculture Association」の申請を受けて、商務部が開始しました。
商務部によると、この調査は関連する法律や規則に基づき実施され、以下のようなプロセスを踏んだと説明しています。
- EU側を含む各ステークホルダー(利害関係者)から広く意見や資料を収集
- 輸出価格と中国本土での通常価格を比較し、ダンピングの有無を分析
- 中国本土の豚肉関連産業の売上や利益、雇用状況などへの影響を評価
そのうえで、EU産の豚肉および豚副産物の輸入がダンピングに当たり、中国本土の国内産業に実質的な損害を与えていると結論づけました。商務部は、この結論は「客観的・公正かつ公平なものだ」と強調しています。
反ダンピング関税とは何か
反ダンピング関税は、輸入品が「ダンピング(不当に低い価格での輸出)」と認定された場合に上乗せされる追加関税です。一般的には、次のような役割を持ちます。
- 自国産業を、不当に安く輸入される製品から保護する
- 輸入品の価格を「通常の価格」に近づけ、公平な競争条件を整える
- 輸出側・輸入側双方に、価格設定や取引慣行の見直しを促す
今回のケースでも、商務部はEU産豚肉などが通常より低い価格で中国本土市場に流入し、それが国内産業の損害につながったと判断しています。その結果として、追加関税という形で調整を行う判断に至りました。
中国本土の国内産業への意味合い
反ダンピング関税の導入は、中国本土の豚肉関連産業にとって、次のような影響を持つ可能性があります。
- 価格面での圧力が和らぎ、国内生産者の採算や投資計画が安定しやすくなる
- 輸入品との競争条件が調整され、長期的な生産体制の維持に寄与する
- 一方で、原料としてEU産豚肉を利用してきた加工業者などには、コスト見直しが求められる可能性もある
商務部は、調査過程で「すべての当事者の権利保護に配慮した」と説明しており、国内生産者だけでなく、輸入や加工に携わる企業の意見も聴取したとしています。
EU企業と貿易関係への影響
EU企業にとっては、4.9%〜19.8%という追加関税により、中国本土向けの豚肉および豚副産物の輸出コストが上昇することになります。税率が高い企業ほど、価格競争力の確保が課題となります。
今後、EU企業側が価格や輸出戦略をどのように調整するか、中国本土市場向けの供給構造がどのように変化するかが注目されます。5年間という比較的長い適用期間は、双方に中長期的な対応を迫るものでもあります。
静かに続く「ルールに基づく調整」
反ダンピング関税は、世界の貿易の中で広く用いられている制度です。今回の中国本土による決定も、国内法と手続きを踏まえた「ルールに基づく調整」として位置づけられています。
輸入制限というと、しばしば感情的な議論になりがちですが、今回のケースでは、
- 業界団体からの申請
- 1年以上にわたる調査
- ステークホルダーへのヒアリング
- ダンピングと損害の認定
といったプロセスを経て、5年間の追加関税という結論にたどり着いています。貿易の現場では、このような手続き型の調整が静かに積み重なり、市場の姿を少しずつ形づくっていきます。
今後、中国本土とEUの豚肉貿易がどのような形で再構築されるのか、また他の農産品や分野に議論が広がっていくのかは、引き続き注目されるテーマになりそうです。
Reference(s):
China to impose anti-dumping duties on certain pork imports from EU
cgtn.com








