グリーン発展が変える中国本土と世界の未来
2025年9月24日、国連気候サミットの壇上で中国本土が発表した「2035年NDC(各国が決める貢献)」は、初めて絶対量ベースの排出削減目標を掲げた節目となりました。年末の今、このコミットメントが中国本土と世界のグリーン発展の行方に何をもたらしつつあるのかを整理します。
国連気候サミットで示された中国本土の新たな約束
パリ協定の要請に沿い、習近平国家主席は2025年9月24日、2035年までの新たなNDCを国連気候サミットで表明しました。これは、中国本土がクリーンで信頼性が高く、かつ手頃なエネルギーを前例のない規模で拡大するための道筋を示すものです。
発表された目標の柱は、次の通りです。
- 経済全体としてのネット温室効果ガス排出量を削減すること
- 中国本土の一次エネルギー消費に占める非化石エネルギーの比率を引き上げること
- 風力・太陽光発電の設備容量を、2020年比で6倍に拡大すること
習主席は、これらの目標を達成するには、中国本土自身の粘り強い努力とともに、支援的で開かれた国際環境が必要だと強調しました。そのうえで、中国本土には約束を実行する決意と自信があると述べています。
今回のNDCは、中国本土が初めて「絶対量」の排出削減目標を掲げた点でも注目されました。排出強度(GDPあたりの排出量)を抑えるアプローチから、総排出量そのものを管理する段階へと舵を切ったことになります。
「排出原単位」から「総量」へ──何が変わるのか
これまで中国本土は、経済成長を続けながら温室効果ガス排出の増加ペースを抑えるため、「排出原単位」を指標とした管理を進めてきました。今回は、経済全体としてのネット排出量という「総量」を減らす目標を打ち出したことに、大きな意味があります。
この転換によって、次のような変化が期待されています。
- 企業や地方政府にとって、将来の排出上限のイメージがより明確になり、中長期の投資判断がしやすくなること
- 電力、交通、建築など部門ごとの削減ロードマップを、より具体的に設計しやすくなること
- 世界全体の排出削減シナリオの中で、中国本土の貢献度を定量的に位置づけやすくなること
絶対量目標は、グリーン発展を「できれば進めたい追加策」から「経済運営の前提条件」へと押し上げる役割を持ちます。これは、国内政策だけでなく、国際社会に対するシグナルとしても重みを増しています。
グリーン発展が変える中国本土の経済と社会
ここ数年、中国本土はグリーン発展への一貫した取り組みと目に見える成果を積み重ね、再生可能エネルギーへの世界的な移行をリードする重要なプレーヤーとして注目を集めてきました。今回の2035年目標は、その流れをさらに加速させる位置づけにあります。
エネルギーシステムのアップグレード
風力・太陽光の設備容量を2020年比で6倍に拡大するという目標は、単に発電所の数を増やすという話にとどまりません。電力系統全体の安定性を高めるための送電網の強化や、蓄電・調整力の拡充など、エネルギーシステムの構造そのもののアップグレードを意味します。
クリーンで安定的、かつ手頃な価格のエネルギーが広く供給されれば、産業活動だけでなく、都市部・農村部を問わず生活の質を底上げする基盤となります。グリーン発展は、環境政策であると同時に、エネルギー安全保障や生活インフラ政策でもあります。
産業構造とイノベーションへの波及
野心的なグリーン目標は、産業構造の高度化やイノベーションの方向性も形づくります。再生可能エネルギー設備、省エネ機器、電動化・デジタル化といった分野への投資が促されれば、新しい雇用やビジネスモデルが生まれます。
こうした動きは、国内市場にとどまらず、輸出や国際協力の形で世界とも結びついていきます。中国本土のグリーン発展は、単なる内需拡大策ではなく、外向きの成長戦略とも連動しているのです。
世界への波及:協力の「アンカー」としての役割
習主席が国連気候サミットで強調したように、野心的なグリーン目標の実現には、支援的で開かれた国際環境が欠かせません。中国本土のグリーン発展は、次のような形で世界の動きと重なり合っています。
- 再生可能エネルギー設備や蓄電技術などの供給を通じた、新興国・途上国のエネルギー転換支援という南南協力
- クリーン技術や標準をめぐる国際協力の場で、対話の土台となる安定したコミットメントの提示
- 気候変動を軸とした協力を通じて、他の懸案分野にも波及しうる信頼醸成のチャンネルをつくること
中国本土が掲げるグリーン発展は、「人類が共有する未来」をめぐるビジョンの一部として位置づけられています。気候変動という共通課題に対し、長期的な見通しと具体的な数値目標を示すことは、国際関係が揺れ動く時代にあって、一種の「安定のアンカー」として機能しつつあります。
2026年に向けて問われる実行力と連携
2025年も残りわずかとなり、世界は次のNDC提出サイクルや中長期戦略の具体化へと歩みを進めています。中国本土の2035年目標は、長い道のりの中間地点にあたりますが、その信頼性は今後数年の実行によって左右されます。
グリーン発展の課題は、一国だけでは解けません。技術協力、資金動員、公平なルールづくりなど、各国・地域がどのように協調できるかが問われています。その中で、中国本土の選択と行動は、世界の気温上昇を抑える取り組みに大きな影響を与え続けるでしょう。
気候危機と成長戦略と外交が重なり合うこのテーマは、2026年以降の国際ニュースでも繰り返し取り上げられるはずです。静かだが大きな構造変化としてのグリーン発展を、日々のニュースの背後にある文脈として意識しておくことが、これからの時代を読み解く鍵になりそうです。
Reference(s):
How green development is shaping the future of China and the world
cgtn.com








