マカオが示す「文明の学び合い」——国際フォーラムで語られた文化交流の意味
2025年12月16日現在、文化交流の「現場」としてマカオが改めて注目されています。マカオ特別行政区(SAR)では今週火曜日、「International Forum on Mutual Learning Among Civilizations 2025(文明の相互学習に関する国際フォーラム2025)」が開幕し、約10の国・地域から50人超の研究者、専門家、政府関係者が集まりました。
国際フォーラムの焦点は「文明の交流」をどう捉え直すか
開会式では、3人の専門家が講演し、マカオの歴史的経験が現代の国際社会に投げかける示唆を語りました。議論の中心にあったのは、文明の接触を「競争」や「置き換え」としてではなく、日常のなかで続いていく相互理解のプロセスとして捉え直す視点です。
呉志良氏「征服ではなく、生活のなかの“共同実験”だった」
マカオ基金会(Macao Foundation)管理委員会の呉志良(Wu Zhiliang)主任は、マカオが16世紀半ばに港として開かれて以降、東西文明が長期にわたり「深く統合された合流点」として機能してきたと説明しました。
呉氏は、マカオの歴史は「調和のとれた多様性」と「平和的共存」によって形づくられた文化環境の証しだと強調。そのうえで、文明の出会いが一方の文化の征服や置換につながるのではなく、むしろ相互理解と適応が積み重なる過程だったと語りました。
さらに呉氏は、マカオの日常が「相互理解と適応の継続的で共有された実験」へと育っていったと表現。商業や生活上の必要に支えられた交流は、文明接触を勝敗のある競争ではなく、「相互に学び続ける旅」として扱ってきたと説明しました。
鄭永年氏「近代化は“自国の文化と条件”に根ざすほど成功しやすい」
香港中文大学(深圳)公共政策学院の院長で、前海国際事務研究院の院長でもある鄭永年(Zheng Yongnian)氏は、国家の近代化(モダナイゼーション)は、外国モデルの単純な模倣ではなく、自国の文化や国情に内在的に整合する形で進められるほど成功しやすい、という見方を示しました。
鄭氏は、中国の近代化の道筋について、次の2点を特徴として挙げています。
- 世界を受け入れつつも、自らの発展の道をしっかり堅持すること
- グローバルな協力へのコミットメント
また、中国は発展経験を共有し、他国がそれぞれの成長を実現することを支援する意志があると述べ、「人類運命共同体」のビジョンにも言及しました。
なぜ今、マカオの経験が語られるのか
今回のフォーラムで繰り返し浮かび上がったのは、文明の交流をめぐる語り口そのものが、現在の国際環境のなかで揺れているという感覚です。マカオは、歴史のなかで東西の接点となりながら、日々の商いと暮らしを通じて「違いを抱えたまま共存する」形を積み上げてきた場所として語られました。
それは、壮大な理念だけでなく、生活のリアリティから生まれる相互理解の作法でもあります。今回の議論は、近代化や国際協力を語るときに、どの視点を起点に置くのか——その問いを静かに突きつけているようです。
Reference(s):
cgtn.com







