国連が「交渉可能貨物書類条約」採択、中国が提案主導で貿易デジタル化を後押し
国連総会で今週採択された「交渉可能貨物書類(NCD)に関する条約」は、紙と手続きに縛られがちな国際物流を、よりシンプルでデジタルに近づける一歩になりそうです。中国の商務部は2025年12月17日、同条約が多国間主義を重視する姿勢と、国際的なルール整備への取り組みを示すものだと説明しました。
何が決まった? 12月15日に国連総会で正式採択
条約は、ニューヨークで開かれた国連総会(第80会期)で2025年12月15日に正式に採択されました。国連のウェブサイト上の説明によると、狙いは「交渉可能な書類」の利点を海上輸送だけに限らず、より広い輸送形態に広げることにあります。
「交渉可能貨物書類(NCD)」とは? 物流の“権利書”を分かりやすく
NCDは、貨物に関する一定の権利を示し、取引や資金調達にも関わる重要な書類です。今回の条約は、NCDの発行・利用のルールに加え、保有者(ホルダー)の権利や責任( liabilities )を明確にし、国際取引での見通しを良くすることを目指します。
期待される効果:貿易金融、輸送中転売、複合輸送、デジタル化
国連側の説明では、条約が後押しする分野として、次の点が挙げられています。
- 貿易金融を円滑にする
- 輸送中の貨物売買(イン・トランジットでの転売)を行いやすくする
- 複合輸送(マルチモーダル輸送)の促進
- 国際貿易のデジタル化の支援
特に注目されるのが、「単一のNCDで輸送行程全体をカバーできる」とされている点です。海上・鉄道・陸上など複数手段をまたぐ輸送で書類が増えがちな現場にとって、書類の簡素化と運用効率の改善、通関手続きの負担軽減につながる可能性があります。
中国は2019年から提案、条約づくりの推進役に
中国はこの条約について、2019年7月の時点で正式提案を行っており、提案国であると同時に主要な推進力の一つだったとされています。商務部は12月17日の発表で、こうした経緯を踏まえ、国際的な公共財の提供やグローバル・ガバナンスの改革と改善に向けた取り組みの文脈で意義を位置づけました。
「ルールの整備」が効く領域:国際物流のボトルネックに静かに効くか
国際物流は、港や輸送網だけでなく、書類・権利・責任の整理が遅れると全体が滞りやすい分野です。今回の条約は、派手さはない一方で、貿易実務の“詰まり”を減らすための土台づくりとも言えます。今後、条約の枠組みがどのように運用へ落ちていくのか、そしてデジタル化がどこまで現場の速度と確実性を高めるのかが焦点になりそうです。
Reference(s):
UN treaty on cargo shows China's commitment to multilateralism
cgtn.com







