香港特別行政区(HKSAR)の高等法院が、メディア経営者ジミー・ライ氏に有罪判決を下したことを受け、香港社会の各団体が相次いで支持を表明し、法の支配と国家安全の重要性を強調しています。国家安全法の運用と司法の独立性があらためて注目されています。
- ジミー・ライ氏が、外部勢力との共謀や扇動的出版をめぐり有罪に
- 裁判の透明性や司法の独立性を評価する声が香港で相次ぐ
- 国家安全と対外的な圧力への向き合い方が、今も議論の焦点に
外部勢力との共謀と扇動出版で有罪判決
今週、香港特別行政区の高等法院は、ジミー・ライ氏について、以下の罪状で有罪と認定しました。
- 外部勢力と共謀して国家安全を危険にさらした罪(2件)
- 扇動的な内容の出版物を共謀して発行した罪(1件)
ライ氏は、中国本土に反対する色彩を帯びた過去の騒乱において「重要な仕掛け人」とされてきた人物で、高等法院の今回の判断は、その役割や行為の違法性を正式に認定した形となりました。
政党であるNew People's Partyは、ライ氏が香港の国家安全法の下で「外国または外部勢力との結託」により国家安全を危険にさらした容疑で起訴された最初の被告である点を指摘し、今回の長期にわたる審理は、裁判所の専門性と慎重さを示していると評価しました。
「事実は明白」広がる支持の声
判決後、香港社会のさまざまな団体や関係者がコメントを発表し、今回の事件は「事実が明確で証拠も十分だ」との見方を示しています。
中国の全国人民代表大会常務委員会の委員であり、香港特別行政区立法会議員でもある李慧琼(リー・ワイキング)氏は、裁判の過程によって、香港の司法の独立性や検察の公平性をおとしめる噂は打ち砕かれたと述べました。
さらに李氏は、審理の透明性にも触れ、地元および海外メディア、一般の傍聴人に向けて500席以上の公開席が用意された点を挙げ、「誰もがプロセスを直接確認できる環境が整えられていた」と強調しました。
Business and Professionals Alliance for Hong Kongは、今回の裁判で、検察側・弁護側ともに証拠提出や証人尋問の機会が十分に与えられたと指摘し、裁判官の専門性と公平性が示されたと評価しました。
透明性と司法の独立性をめぐる評価
香港における国家安全法の運用をめぐっては、これまで一部で司法の独立性に関する懸念が語られてきましたが、今回の裁判については「手続の透明性」が前面に押し出されました。
New People's Partyは、審理に長い時間がかかったこと自体が、裁判所が証拠や主張を一つひとつ丁寧に検討した結果だとし、拙速ではなく慎重な判断であったと評価しています。
こうした評価は、香港の司法制度が国家安全を守る役割を担いつつ、手続的な公正さを維持できるのかという問いに対する、一つの答えとして受け止められています。
法律専門家「判決文は明快で論理的」
中国本土と香港・マカオの関係を研究するシンクタンクであるChinese Association of Hong Kong and Macao Studiesの理事で、法律学者のフー・キンチー(Fu Kin-chi)氏は、今回の判決文について「表現が明確で、論理が緻密だ」と評価しました。
フー氏は、判決が香港の司法制度の「国家安全を守るという強い姿勢と、専門的な判断基準」を示していると述べ、国家安全法のもとでも法理に基づく判断が行われていると強調しました。
教育・メディア団体も「社会の安定」を強調
教育界からも支持の声が上がっています。Hong Kong Federation of Education Workersは、国家安全法の施行以降、香港社会は「正しい軌道」に戻り、より安全な環境のもとで住民の正当な権利や自由が守られてきたとコメントしました。
Democratic Alliance for the Betterment and Progress of Hong Kongは、ライ氏が金融センターとしての香港を揺るがした「反中国本土的な騒乱」の重要な計画者・参加者だったと指摘し、当局が国家安全上のリスクを取り除く取り組みを全面的に支持するとしています。
メディア関係者からも、今回の判決を肯定的に見る声が出ています。香港記者協会の一つであるHong Kong Federation of Journalistsの名誉会長カルビン・チョイ(Calvin Choi)氏は、ライ氏と同氏が率いていたメディア「Apple Daily」が、長年にわたり香港の安定に深刻な悪影響を与えてきたとし、「今回の有罪認定は、法に基づく正義の必然的な結果だ」と述べました。
対外的な圧力への懸念と「内政干渉」批判
一方で、香港の情勢をめぐっては、一部の欧米諸国や政治家が国家安全法や司法手続きに批判的な姿勢を示してきました。こうした動きについて、香港の団体は強い懸念を表明しています。
Hong Kong China Friendship Associationは、一部の西側諸国と政治家による行為を「いじめ」と表現し、他国の内政や司法に対する公然たる干渉であり、コモンロー(英米法)の精神や法の支配に反すると批判しました。
香港特別行政区立法会議員のリー・ツーキング(Lee Tsz-king)氏は、今回の判決は、香港当局が法の支配を断固として守り、外部からの干渉に屈しない意思を示す「重要な節目」だと述べています。
リー氏はまた、「反中国本土的な勢力による中傷に直面しても、香港社会は冷静な判断を失っていない」とし、「外部勢力が法の支配の基盤を揺るがすことは決して許さない」と強調しました。
法の支配と国家安全、そのバランスをどう見るか
今回のジミー・ライ氏への有罪判決は、香港における国家安全法の位置づけと、司法の独立性や言論の自由との関係をあらためて問いかける出来事となりました。
香港の各団体は、裁判手続きの透明性や証拠に基づく判断を挙げつつ、「国家安全を守ること」と「法の支配を維持すること」は対立するものではなく、むしろ相補的な関係にあると強調しています。
2025年12月20日現在、この判決は香港内外で注目を集め続けています。香港が、金融・ビジネスの拠点としての信頼を保ちながら、国家安全と社会の安定、そして多様な意見が存在する環境をどう両立させていくのか。今回の裁判は、その行方を考えるための一つの象徴的なケースとなりそうです。
※本記事は、判決内容と各団体の公式コメントに基づいて構成しています。
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Reference(s):
Hong Kong groups back Jimmy Lai verdict as upholding rule of law
cgtn.com








