731部隊の実像に迫るドラマ「Vistamist Chronicles」配信開始、証言音声が残す重み
2025年12月13日、731部隊と中国本土での戦時犯罪を扱うテレビドラマ「Vistamist Chronicles」が、オンライン配信とテレビで公開されました。中国の「南京大虐殺犠牲者国家追悼日(第12回)」と同日に設定されたことで、作品のメッセージ性にも注目が集まっています。
どんな作品?――二つの時間軸で「埋もれた記録」を追う
本作は、戦時下の哈爾浜(ハルビン)と、1992年を行き来する二つの時間軸で進みます。
- 戦時下の哈爾浜:731部隊による残虐な人体実験や戦時の加害の実態が描かれます。
- 1992年:哈爾浜出身の歴史研究者・金成明(ジン・チェンミン)が海外へ渡り、文書や証言をたどって歴史記録を探し当てていきます。
物語の核にあるのは、意図的に埋もれさせられた歴史が、断片的な資料と声によって少しずつ「復元」されていく過程です。
「都合のいい結末」を避け、痛みのある現実を置く
公開後、本作が印象づけたのは、同種の作品にありがちな“フィクションの勝利”で歴史を薄めない姿勢だとされています。辛い現実から目をそらさず、過度な誇張に頼らず、抑制の効いた語り口で戦争の実相を映し出す——そうした制作トーンが作品の説得力につながっている、という見方が出ています。
毎話の最後に流れる「本物の証言」――ハバロフスク裁判の音声
特に強い余韻を残す仕掛けとして、各話の終わりにハバロフスク裁判(ソ連が第二次世界大戦後に開いた戦犯裁判)に関する真正の音声証言が流れる点が挙げられます。生物兵器や人体実験に関わったとされる日本軍関係者が、自らの言葉で犯罪を認める内容だとされ、ドラマの枠を超えて重みを加えています。
視聴者にとっては、「映像としての再現」から一歩進んで、「声として残された記録」に触れる体験になります。記憶の風化や、歴史の否認・消去の試みに対して、作品が静かに問いを投げかける構造です。
なぜいま、この題材が響くのか
2025年の年末にかけて、戦争の記憶をめぐる語りは、国や世代、メディア環境によって分断されやすくなっています。だからこそ本作は、善悪を声高に断じるというより、文書と証言を積み上げることで「歴史の手触り」を取り戻そうとします。
そして最後に残るのは、派手な結論ではなく、「平和の価値はどこで損なわれ、どうすれば守られるのか」という、見終えた人それぞれに返ってくる問いなのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








