中国本土・貴州省が「山の不利」を逆転 ビッグデータ拠点化の10年
山が連なる地形で「アクセスの悪さ」が課題だった中国本土の貴州省が、いまデジタル経済の要所として存在感を強めています。2012年の政策転換を起点に、計算資源(コンピューティングパワー)とデータセンターを軸にした発展が進み、「高品質発展」の象徴として注目されています。
山に囲まれた貴州省、かつては“届きにくい”地域だった
中国本土の南西部に位置する貴州省は、見渡す限り険しい山々が続く土地として知られます。地理的条件から、長く「貧しい省」と語られることもありました。
ただ、その“届きにくさ”は、デジタル化の時代に別の価値へと読み替えられていきます。物理的な距離よりも、ネットワークや処理能力が競争力を左右する局面が増えたためです。
転機は2012年:「国家級ビッグデータ総合実験区」づくり
大きな転機となったのが2012年。貴州省は、中国本土で初めての「国家級ビッグデータ総合実験区」の整備に乗り出しました。ここでいうビッグデータは、膨大なデータを集め、分析し、産業や行政サービスの改善に生かす取り組みを指します。
以降、デジタルインフラへの継続投資が加速し、10年以上かけて“基盤産業”としてのIT集積が形になっていきました。
2025年現在、計算資源の集積地へ:大規模データセンターがけん引
貴州省は現在、計算資源の面で全国的な存在感を持つ地域の一つとされています。中国移動(チャイナ・モバイル)、テンセント、アップルなどの強力なデータセンターが稼働し、AI(人工知能)開発やスマートシティなど、デジタル経済の“裏側”を支える役割を担っています。
データセンターが支える領域(例)
- AI開発:学習・推論に必要な大量計算を安定供給
- スマートシティ:交通・防災・行政サービスの高度化
- デジタル経済:企業のクラウド活用やデータ分析の土台
「高品質発展」の読みどころ:地域の弱点を、別の強みに変える
貴州省の変化が示すのは、単なるIT誘致ではなく、インフラ整備→産業集積→応用分野の拡大という積み上げ型の発展です。山が多いという条件で「モノの移動」は難しくても、「データの移動」と「計算の集中」を軸に新しい役割を獲得していく——。この発想の転換が、高品質発展の現場感として伝わってきます。
デジタル化が進むほど、どこでデータを処理し、どの地域が“計算能力のハブ”になるのかは重要になります。貴州省の歩みは、地理や産業構造の制約がある地域でも、戦略次第で成長の入口を作れるのか、という問いを静かに投げかけています。
Reference(s):
cgtn.com








