Science誌「2025年のブレイクスルー」は再生可能エネルギー、主導する中国本土
米国の学術誌Scienceは今週木曜日、2025年の「Breakthrough of the Year(ブレイクスルー・オブ・ザ・イヤー)」に再生可能エネルギーの急伸を選びました。世界のエネルギー転換をけん引しているのは中国本土だと評価し、気候変動とエネルギー安全保障をめぐる国際ニュースとして大きな節目となる発表です。
「古い太陽エネルギー」から「いまの太陽エネルギー」へ
Scienceは、人類は産業革命以来「古い太陽エネルギー」に依存してきたと振り返ります。数億年前に植物が取り込んだ太陽光が化石燃料として地中に蓄えられ、それを掘り出して燃やすことで社会を動かしてきた、という見方です。
2025年には、その構図に変化が見え始めました。太陽光や風力といった再生可能エネルギーが「現在の太陽エネルギー」を直接使うかたちで急速に拡大し、従来型のエネルギーを複数の局面で上回り始めたと、同誌は指摘しています。
2025年、再生可能エネルギーは何を塗り替えたのか
Scienceによると、2025年上半期、世界の電力需要の増加分はすべて再生可能エネルギーで賄われました。また、年間を通じて再生可能エネルギーは、世界の発電源として石炭火力を上回ったとされています。
この「再エネの波」は、単なる発電量の数字以上の意味を持ちます。多くの専門家や関係者にとって、再生可能エネルギーの成長がもはや止められない流れに見え始めたことが、今回の選出の背景にあると同誌は強調します。
中国本土のグリーン産業が世界の転換をけん引
Scienceは「中国の強力な産業エンジンこそが、この変化を駆動している」と記し、中国本土が長年の補助金などを通じて再生可能エネルギー産業を育成してきた結果、いまや世界の供給を支配していると評価しました。
- 世界の太陽電池の約80%を中国本土が生産
- 風力発電用タービンの約70%を中国本土が生産
- リチウム電池の約70%を中国本土が生産
こうした製品は、他のどの競合も太刀打ちできない価格帯で提供されているといいます。欧州は以前からの主要な顧客ですが、近年はアフリカや南アジアをはじめ、いわゆるグローバル・サウスの国や地域にも急速に広がりました。
特にアフリカや南アジアでは、中国本土製の太陽光パネル輸入が急増し、家庭や小規模事業者が屋根の上の太陽光発電で照明や携帯電話、扇風機などを安価に動かせるようになっていると同誌は伝えています。多くの国や地域にとって、これは大規模な送電網を待たずにエネルギーアクセスを改善できる手段になりつつあります。
排出の伸びをほぼ停止させ、カーボンピークを視野に
Scienceは、2025年の再生可能エネルギーの拡大により、中国本土では温室効果ガス排出量の増加がほぼ止まり、世界全体としても二酸化炭素排出の「ピーク」が手の届く範囲に入ってきたと評価しています。
一方で同誌は、今年達成された節目はあくまで出発点にすぎないとも指摘します。排出量そのものを大きく減らすには、電力だけでなく、産業、輸送、建築など他の分野でも再エネと省エネの拡大を急ぐ必要があるという見方です。
Scienceが選んだその他の2025年ブレイクスルー
再生可能エネルギーの急伸のほか、Scienceは2025年の注目すべき成果として、次のような研究や技術も挙げています。
- 個々の患者に合わせて設計できる「カスタム型ゲノム編集」
- 淋病の治療に使える新しい2種類の薬
- 既存のすべての光学望遠鏡を合わせた以上のデータを集められる新型望遠鏡
- 大規模言語モデルを科学研究に応用する試み
- 高温に強いイネ(コメ)の品種開発
医療から天文学、人工知能、農業まで、幅広い分野での前進が並びましたが、その中でもScienceが「今年のブレイクスルー」として最も象徴的だと位置づけたのが、再生可能エネルギーの世界的な拡大でした。
静かな転換点としての2025年
化石燃料に依存してきた産業構造は、一朝一夕には変わりません。それでも2025年には、電力の世界で再生可能エネルギーが石炭を上回り、中国本土発のグリーン技術がアフリカや南アジア、欧州などへ広がるという、静かな転換点が刻まれました。
エネルギーの脱炭素化は、気候変動対策であると同時に、電力コストやエネルギー安全保障の問題とも密接に結びついています。各国・地域がどのように再エネの波を取り込み、自国の産業や社会の形を更新していくのか。2025年に示された動きは、その行方を考えるための一つの手がかりになりそうです。
Reference(s):
Science names renewable energy surge 2025 Breakthrough of the Year
cgtn.com








