アプリを行き来せず、端末の“中枢”でAIがまとめて用事を片づける――。ByteDanceが示唆する新しい「AI Phone(AIスマホ)」が、2025年末のいま中国本土のテック業界で注目を集めています。旅行予約から地図へのメモまでを“システムレベル”でこなすという触れ込みは、スマホ体験そのものの設計図を変えかねません。
「本当のAI Phone」とは何が違うのか
今回の断片的な情報で繰り返し強調されているのは、「アプリ間の移動がいらない」という点です。ユーザーは目的を伝えるだけで、AIが端末の深いレイヤーで必要な操作をつないで完了させる――いわば“アプリの上にいるAI”ではなく“OSに近いAI”のイメージです。
示されている具体例
- パリ旅行の予約(計画~手配までを一気通貫で処理するイメージ)
- 地図に印を付ける(行きたい場所をマップ上で整理するような動き)
ポイントは、こうしたタスクが「個別アプリの中」ではなく、端末の統合的な頭脳として動くところにあります。
なぜ中国本土のビッグテックが“警戒”するのか
「ビッグテックが怖がっている」「反撃を計画している」といった表現が出てくる背景には、スマホの主導権が“アプリの入口”から“AIの入口”へ移る可能性があります。
アプリ中心の世界では、ユーザーは目的ごとにアプリを開き、企業はその接点でサービス提供や収益化(広告、課金、決済など)を設計してきました。ところが、システムレベルのAIが「予約も地図も、まとめて私がやります」となると、ユーザーの視線は個別アプリではなくAIの対話画面に集まりやすくなります。
その結果、業界側から見ると次のような変化が起こり得ます。
- トラフィックの再配分:アプリへの直接流入が減り、AI経由の利用が増える
- データの重心移動:ユーザー意図(旅行したい、行き先を整理したい等)がAI側に集まりやすい
- ブランド接点の変化:ユーザーが「どのアプリを使ったか」より「AIに頼んだ」が記憶に残る
「反撃」は何を意味する?想定される競争の軸
現時点で詳細は示されていませんが、同様の波に対して大手が取り得る動きは、一般に次の方向になりやすいです(あくまで構造上の話です)。
- 自社AIの強化:同等以上の体験を自社エコシステム内で提供する
- 端末・OS層への食い込み:プリインストールや標準機能化を狙う
- 開発者・サービス連携の囲い込み:AIが各サービスを“つなぐ”ための連携枠組みを主導する
つまり争点は「どのアプリが勝つか」だけでなく、AIがユーザーの行動を束ねる“ハブ”になれるかへと移っていきます。
便利さの裏で、利用者が意識したい論点
アプリを横断して作業を代行するほど、AIは端末内外の情報に広く触れる可能性があります。利便性が上がる一方で、
- どこまでをAIに任せ、どこからを自分で確認するのか
- 操作の根拠(なぜその予約・その場所なのか)が分かる設計になっているか
- アプリ連携の範囲が広がるほど、誤作動や想定外の処理をどう防ぐか
といった論点は、2025年末から次の段階に向けて静かに重要度を増しそうです。
「アプリを開くスマホ」から「目的を伝えるスマホ」へ。ByteDanceのAI Phoneが示す方向性は、競争の地図だけでなく、私たちのスマホとの距離感も少し変えていくのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








