中国、科学技術成果の社会実装を加速へ 全人代常務委が報告を審議
中国でいま注目されているのは、「研究開発(R&D)の成果を、どう産業や日常の現場に早く届けるか」というテーマです。2025年12月22日、全国人民代表大会(全人代)常務委員会で、科学技術の成果活用を促す国務院報告が審議に付されました。
何が審議されているのか
審議の対象となっているのは、科学技術の“成果”を実際の製品・サービス・生産性(=「生産力」)へと転換していく取り組みを進めるための報告です。報告は、14次五カ年計画(2021〜2025年)の期間に、技術革新の応用(社会実装)が量・質の両面で拡大したとしています。
数字で見る「成果の移転」拡大
報告の中でも象徴的なのが、技術取引の伸びです。大学・研究機関・企業などが保有する技術が契約を通じて移転・活用される動きが強まっている、と読み取れます。
技術契約額は2020年から2024年で約1.4倍超
- 技術契約の総額:2020年の2.83兆元(約4020億ドル)→2024年の6.84兆元
- 増加率:141.7%
研究成果の「論文」や「特許」だけでなく、契約や導入を通じて現場で使われる流れが強まった、という説明です。
伝統産業の高度化と、新興分野の拡大
報告は、新技術の導入が伝統産業の最適化・高度化を速め、戦略的新興産業(成長が期待される新しい産業領域)の拡大が続いていると述べています。
- 2024年の一定規模以上のハイテク製造業の付加価値:2020年比で42%増
- 人工知能(AI)やバイオテクノロジーなどの先端分野:新たな成長エンジンとして台頭
“先端分野の育成”と“既存産業の底上げ”を同時に進める構図が、数字の背景にあります。
企業が主役に:R&D支出と特許の比率
また報告は、科学技術・産業イノベーションの融合が進んでいるとして、企業の存在感を具体的な比率で示しました。
- R&D支出に占める企業の割合:77%超
- 国内の有効な発明特許に占める企業保有の割合:73.7%
研究開発の担い手が「企業中心」に寄っていることは、成果の社会実装が進みやすい一方で、基礎研究や長期テーマをどう支えるかという論点も自然に浮かびます。
制度づくりはどこまで進んだのか
報告によると、科学技術成果の活用を支える制度的な枠組みは「おおむね整った」とされます。関連する法律・法規の整備が進み、成果転換(研究成果の実用化・事業化)を促す政策体系も「基本的に確立した」と説明されています。
年末の審議が示すもの
2021〜2025年の14次五カ年計画が節目に差しかかるこの時期に、成果活用を改めて前面に出すことは、「研究の強化」だけでなく「使われ方の設計」を重視するメッセージにも見えます。技術契約、製造業の高度化、先端分野の伸長という複数の指標を並べることで、政策の焦点が“研究から実装へ”と広がっていることが伝わってきます。
Reference(s):
China formulates plan for applying science and technology innovation
cgtn.com








