新モデル「EPICC」で中国本土の大気汚染予測がより精密に
中国の研究者が、新たな大気質モデル「EPICC」を開発し、PM2.5(微小粒子状物質)と地上オゾンの予測精度を高める手がかりとして注目されています。複数の汚染物質が絡み合う大気のふるまいを、より現実に近い形で再現できるという点がポイントです。
EPICCとは何か:排出と大気プロセスを一体で扱う発想
今回開発されたのは、Emission and Atmospheric Processes Integrated and Coupled Community Model(EPICC)と名付けられた新しい空気質(大気汚染)モデルです。特徴は、汚染の「原因(排出)」と「大気中で起きる変化(化学反応や輸送などのプロセス)」を統合し、連動(カップリング)させて扱う設計にあります。
研究者によれば、EPICCはとくにPM2.5と地上オゾンという、健康影響や日々の生活実感とも結びつきやすい2つの主要汚染物質を、より正確にシミュレーションできるとされています。
なぜ「PM2.5」と「地上オゾン」を同時に扱うことが難しいのか
PM2.5と地上オゾンは、どちらも単純な「排出量の増減」だけで決まるわけではありません。天候や地形、都市化の進み方、他の化学物質との相互作用などが絡み、日によって、地域によって姿を変えます。
- PM2.5:排出された粒子に加え、大気中で化学反応して生まれる粒子も混ざります。
- 地上オゾン:排出されたオゾンそのものではなく、関連物質が日射などの条件で反応して生成されやすいとされます。
このため、片方だけを見て対策を組むと、もう片方の改善が想定どおり進まないケースもあり得ます。EPICCの狙いは、こうした「同時に起きる複雑さ」をより丁寧に描くことにあります。
「急速に発展する地域」で役立つとされる理由
発表では、EPICCが急速に発展する地域の複雑な大気汚染課題を理解し、管理するための「洗練されたツール」になり得ると説明されています。都市化や産業活動の変化が速い地域では、排出構造や人の移動、エネルギー利用の姿が短期間で変わりやすく、従来の前提が追いつきにくい場面もあります。
2025年12月現在も、大気汚染は「特定の季節だけ」の話題にとどまらず、健康、産業、都市運営の意思決定に関わるテーマとして継続的に注目されています。そうした中で、モデルの精度向上は、対策の優先順位づけや効果検証の土台になります。
予測が精密になると何が変わる?想定される使い道
EPICCのようなモデルが現場で活用されていくと、次のような使い方が想定されます。
- 汚染の見通し(予測)の改善:短期的な注意喚起や運用判断の材料が増える。
- 対策の効果検証:排出削減策がPM2.5と地上オゾンにどう効いたかを、同じ枠組みで評価しやすくなる。
- 地域差の理解:地形や気象条件、都市構造の違いによる汚染の出方を比較しやすくなる。
いま注目したいポイント:モデルは「運用」で育つ
大気質モデルは、設計思想だけでなく、運用を通じた改善(入力データの整備、現場観測との突き合わせ、ケース分析の蓄積)で精度と信頼性が磨かれていきます。EPICCについても、今後どの地域・どの条件で強みが発揮されるのか、実運用の中での検証や改善の広がりが焦点になりそうです。
PM2.5と地上オゾンは、同じ空の下で同時に起きる問題です。予測の精度が上がることは、対策を「速く」「的確に」組み立てるための土台を厚くする――その意味で、今回のEPICCは静かながら重要なアップデートといえます。
Reference(s):
New air quality model sharpens China's pollution forecasting
cgtn.com








