2025年の映画を形づくった3本:CGTN文化記者が選ぶ『餛飩スープ』『唐探1900』『神舟13』 video poster
2025年の映画は何に心を動かされ、何を映し出したのか。年の瀬(2025年12月)にあわせて、CGTNの文化記者3人が円卓形式で語った「今年の推し作品」が、いまの映画の多様さを静かに浮かび上がらせています。
3人の記者が選んだ「今年の一本」
今回のラウンドテーブルで挙がったのは、都市の生活感、越境する物語、そして映像技術の進化を、それぞれ別の角度から体感させる3作品です。
- 趙小菲(Zhao Xiaofei):『Wonton Soup(餛飩スープ)』
- 劉莫涵(Liu Mohan):『Detective Chinatown 1900(唐探1900)』
- 閔蕊(Min Rui):『Shenzhou 13(神舟13)』
『Wonton Soup』:食べものがつなぐ、上海の“ふつう”の温度
趙小菲記者が推したのは、上海方言を用いた『Wonton Soup』。食を「感情の糸」として、都市の日常にある小さな優しさや、言葉になりにくい気配をすくい取る作品だと紹介されています。
2025年の映画を振り返ると、派手な出来事よりも、暮らしのリズムや地域の言葉が持つ手触りを大切にする表現が、ひとつの流れとして見え隠れします。方言映画は、土地の記憶や家族の距離感を“音”として運ぶ点でも、観客の受け取り方を変えていきます。
『Detective Chinatown 1900』:チャイナタウンが橋になる、共同制作の語り口
劉莫涵記者は、中国本土と米国の共同制作作品『Detective Chinatown 1900』に注目。チャイナタウンを舞台にした物語が、文化の境界をまたぎながら、世界の視点の中で中国のアイデンティティを捉え直す契機になる、と語られています。
共同制作が増えるほど、脚本・キャスティング・演出の判断は「どの観客にどう届くか」という問いと結びつきやすくなります。2025年のシネマは、その問いを“正解探し”ではなく、複数の読み方を許すストーリーテリングとして提示する場面が増えているのかもしれません。
『Shenzhou 13』:8Kと宇宙が示す、技術と映画表現の同時進行
閔蕊記者が推した『Shenzhou 13』は、8Kの宇宙作品として紹介され、中国の航空宇宙技術における最新の成果と、映像制作のブレークスルーを同時に感じさせる一本とされています。
8Kは単に「高精細」というだけでなく、質感の描写や光の階調、空間の奥行きの捉え方まで変えていきます。映画館や家庭の視聴環境が多様化する2025年において、「どのフォーマットで、何を見せたいのか」という作り手の意志が、作品の個性として立ち上がりやすくなっています。
3本に共通するキーワード:多様性は“テーマ”ではなく“作法”へ
今回の3本はジャンルも手触りも異なりますが、並べてみると、2025年の映画が抱える空気が見えてきます。
- 地域性:方言や生活の細部が、物語の説得力になる
- 越境性:共同制作や移民の歴史が、複眼的な語りを促す
- 技術性:高解像度・新しい撮影表現が、内容と不可分になりつつある
「何が今年の映画を定義したのか」という問いは、結局のところ、一本の大きな潮流に回収されにくい時代の輪郭を確かめる作業でもあります。食卓の湯気から宇宙の暗闇まで—その振れ幅自体が、2025年のシネマの元気さを物語っているようです。
Reference(s):
cgtn.com








