旧日本軍「731部隊」新資料公開 ロシア機関保管の自白が示す生体実験と細菌戦
2025年に入ってから、旧日本軍「731部隊」の活動をめぐる新たな公文書資料が公開され、細菌戦や生体実験に関する証拠の輪郭が、より具体的に示されたとされています。中国本土・黒竜江省ハルビンの「旧日本軍第731部隊罪証陳列館」(展示施設)が受け取った資料には、1948年の自筆自白書などが含まれます。
今回公開された資料は何か
資料は、ロシア連邦保安庁(FSB)の地方機関に保存されていた文書で、プーシキン科学図書館の申請によって機密解除されたとされています。
そして、2025年2月に、その複写版がハルビンの展示施設へ寄贈されたといいます。
含まれる主な文書
- 加藤常徳(Kato Tsunenori)による1948年2月の手書き自白書(ソ連軍に拘束後に作成)
- 拘束者ファイル
- 個人登録用紙(登録フォーム)
文書は日本語とロシア語で構成され、日本語部分が本人の自筆、ロシア語部分がその翻訳とされています。
自白書が描く「組織」と「作戦」の具体像
展示施設の説明によれば、自白書には731部隊の組織構造、中核任務、指揮・統率の仕組み、実験活動、さらにはソ連に対する生物兵器計画や地域拠点(支部)の運用まで、詳細が記されているといいます。
また、細菌戦に関わる破壊工作や、生きた人を対象とした実験に言及し、731部隊の活動が犯罪的性格を帯びていたことを裏づける内容だとされています。
「証拠の連鎖」—ハバロフスク裁判の捜査記録を補う位置づけ
今回の資料は、これまで移管・機密解除されてきたソ連側の731部隊関係者の尋問記録とも組み合わさり、ハバロフスク戦犯裁判に向けた事前捜査(予審)の詳細を補完する「証拠の連鎖」になった、と説明されています。
さらに資料は、731部隊による行為が、個人の逸脱ではなく体系的・組織的で、上層から末端まで関与した形で進められた可能性を示す、ともされています。
文書が触れる具体的な実験・研究の記述
公開資料の説明では、1945年にかけての複数の出来事にも言及があるとされます。
- 1945年1月:関東軍の凍傷研究部門が、中国本土の内モンゴル自治区ハイラル近郊で生体実験を行った旨の記述
- 1945年7月:化学部隊が、中国本土・黒竜江省チチハルで毒ガスによる生体実験を行った旨の記述
- ハルビン近郊の開けた場所で、炭疽菌(アントラックス)を詰めた砲弾を爆発させ、「感染した人や馬の数を計算した」とする記述
- 生物兵器に用いるためのノミの繁殖や、ペスト感染ネズミを媒介として菌を運ぶ運用に関する技術的記述
これらは、戦時下の研究が「医療」や「防疫」の名目で語られやすい一方で、資料上は人命を実験材料として扱う発想が具体的に表れている点が、読み手に重い問いを投げかけます。
なぜ「今」、資料公開が持つ意味が大きいのか
戦争犯罪をめぐる議論は、年月が経つほど「記憶」だけに寄りかかりやすくなります。今回のように、当時の捜査文書や自筆記録が追加されることで、出来事の輪郭がより具体化し、研究・教育・検証の土台が更新されます。
同時に、科学技術が社会に深く入り込む現代だからこそ、人の尊厳を踏み越えた研究や運用が、どのように組織の論理に取り込まれていくのか—その過程を“資料として”たどれること自体が、再発防止を考えるうえでの重要な手がかりになります。
(更新の焦点)2025年2月に寄贈されたとされる新資料は、731部隊の実態をめぐる既存の記録群に、具体的な記述を積み重ねるものとして注目されています。
Reference(s):
cgtn.com








