中国本土で野生アムールトラ「5つ子」初確認 国家公園の赤外線カメラが捉える
中国本土の東北部にある国家公園で、野生のアムールトラ(シベリアトラ)の母親と5頭の子どもが撮影され、野生下の「5つ子」が初めて記録されたとして注目されています。生息地の回復や密猟対策など、保全策の積み重ねが“数字”ではなく具体的な光景として立ち上がった出来事とも言えそうです。
11月に赤外線カメラが記録、12月26日に公表
東北虎豹国家公園(中国東北部)の管理当局は2025年12月26日、2025年11月に赤外線カメラ(赤外線を使い夜間なども撮影できる監視カメラ)が、雌のアムールトラ1頭と5頭の子トラを捉えたと発表しました。これは、中国本土で野生のアムールトラ「5つ子」が確認された初の記録だとしています。
自動アラート→リアルタイム監視でレンジャーが確認
最初に異変を捉えたのは、パトロールレンジャーの杜嘉星(Du Jiaxing)氏でした。自動アラートを受けてリアルタイムの監視システムを確認したところ、
- 細身で縞がはっきりした雌トラがカメラ前を通過
- 続いて元気に動く子トラ5頭が映り込む
という“家族連れ”の様子が確認できたといいます。杜氏は、付近の村に注意喚起を行い、関係当局にも報告しました。
別地点でも同じ個体を撮影 母トラは「GH005F」
その後、別の場所に設置された別の赤外線カメラでも、同じトラが撮影されました。監視データベース上で母トラは「GH005F」と識別されているとのことです。
公園管理当局トップの段兆剛(Duan Zhaogang)氏によれば、母トラは2025年6月ごろに出産した可能性が高いとされています。
「世界の専門家と確認」し、野生の5つ子として認定
段氏は、世界の専門家に相談したうえで検証し、今回の映像が中国本土で初めて記録された野生アムールトラの5つ子だと確認されたと説明しています。監視カメラの“偶然の一枚”というより、識別情報(GH005F)や複数地点での再撮影など、積み上げ型の確認プロセスが見える発表でした。
国家公園の背景:19の保護区を統合、2017年に試行→2021年に正式設立
東北虎豹国家公園は、かつての19の自然保護区を含むエリアを対象に、2017年8月に中国本土の初期の国家公園の一つとして試行段階が始まり、2021年に正式に設立されました。
生息環境を“つなぐ”保全策:森林回復と回廊、密猟対策
管理当局によると、これまでの保全策には次のような取り組みが含まれます。
- 2,200ヘクタールの森林の回復
- 生態回廊(生き物が移動しやすい“つながり”)の整備
- 重要な野生動物通路の修復
- 継続的な反密猟パトロール
こうした施策が、生息地の拡大と質の改善につながり、地域のトラ・ヒョウの生息環境を支えているとしています。
今回の映像が投げかける、静かな問い
レンジャーが映像確認後に近隣集落へ注意喚起を行った点は、保全が「守る」だけでなく、人の暮らしとの距離をどう保つかとも結びついていることを示します。監視技術(自動アラートや赤外線カメラ)と現場対応(警戒の周知)が連動することで、野生動物と人の双方にとってリスクを抑える設計が問われているのかもしれません。
そして、5頭の子トラが同じ画面を駆け抜ける映像は、制度や面積の話を一瞬で具体化します。保全の成果は、往々にして“起きたこと”としてしか見えてこない——そんな現実を思い出させるニュースです。
Reference(s):
China reports its first sighting of wild Siberian tiger quintuplets
cgtn.com








