2025年の北京を「音」で振り返る:季節が運んだ日常のサウンドスケープ video poster
2025年12月下旬のいま、1年を振り返る切り口として静かに効いてくるのが「音」です。高層ビルや名所の写真ではなく、風、雷、セミ、地下鉄、落ち葉、そして冬の暖房――北京の日常は、耳に残る層のように季節を刻んでいました。
都市の記憶は、目より先に耳にたまる
都市はつい“見たもの”で記憶されがちです。けれど実際には、通勤の足音やアナウンス、木々のざわめき、天候のうねりといった「いつもの音」が、生活の輪郭をつくっています。2025年の北京は、四季の変化がそのまま音の変化として立ち上がる一年でした。
春:強い風と雷鳴が、街を起こす
春の到来は穏やかというより、はっきりした合図でした。広い大通りにも細い路地にも鋭い風が抜け、やがて雨が続きます。雷鳴は建物の間で反響し、街全体が「目覚め直す」ような感覚を生みました。
夏:セミの合唱から、地下鉄の金属音へ
夏を告げるのはセミの声です。木々から響く、一定で電気的にも感じるコーラスが続きます。その音が、地下へ降りると別のリズムに置き換わります。
- 地下鉄のドアが滑るように開閉する金属音
- トンネルに跳ね返る構内アナウンス
- 足音がそろっていく朝のラッシュのテンポ
蒸し暑さが厳しい時期ほど、朝夕の短い“涼みの時間”が貴重になり、そこで屋外の気配が少し戻ってくる――そんな生活感も、音として残ります。
秋:落ち葉のささやきと、静かになる会話
秋は街の角を丸めていきます。空気は軽く、涼しくなり、急ぐ気持ちがほどけるような風が入ります。足元では落ち葉が小さく鳴り、園内や街角の会話もどこか抑えめに。夏の熱が引いて、北京が一度「息を吐く」季節でした。
冬:気温は急降下、それでも室内には“ぬくもりのインフラ”
冬は、いつの間にか入り込みます。秋の濃い色を手放しきれないうちに、気温は一気に氷点下へ。指がこわばり、息が白くなり、身体が防寒の構えを覚えます。
一方で、室内にははっきりした対比があります。北京を含む淮河より北の都市では、集中暖房の仕組みが暮らしのベースになっており、外の冷え込みとは別の“暖かい音のない安心”が広がります。冬の静けさは厳しさだけでなく、次の春を待つための余白にも見えてきます。
「音」で読む2025年の北京が教えてくれること
春の雷、夏のセミと地下鉄、秋の落ち葉、冬の暖房。並べると特別な出来事ではありません。それでも、日常音の連なりは、都市の気候、移動、働き方、そして季節感の濃淡までを含んでいました。年末に“何を見たか”だけでなく、“何を聞いて暮らしたか”を思い出すと、都市の解像度は少し上がるのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








