宇宙を旅した4匹のマウスに公募名—中国宇宙ステーション実験のいま
中国の宇宙ステーションで実験に参加した4匹のマウスの名前が、公募をもとに決まりました。宇宙環境が哺乳類に与える影響を探る研究が本格化する中、科学を「自分ごと」に近づける動きとしても注目されています。
公募で決まった4つの名前—「空」「月」「雲」「夢」
中国科学院(CAS)の研究チームは、2025年12月27日(土)に開かれた公開科学イベントで、宇宙ミッションに参加した4匹のマウスの名前を発表しました。
- Wangtian(望天):空を見上げる(gaze at the sky)
- Lanyue(攬月):月をつかむ(reach for the moon)
- Zhuiyun(追雲):雲を追う(chase the clouds)
- Zhumeng(逐夢):夢を追う(follow the dream)
発表にあわせて、4匹のキャラクターイラストも公開されました。イラストは新華社と共同制作されたとされています。
神舟21で打ち上げ、神舟20で帰還—短い滞在でも貴重なデータ
4匹は「6、98、154、186」という番号で管理され、48の候補から選抜されました。2025年10月31日、神舟21号の有人宇宙船で宇宙ステーション内の一時的な飼育環境へ送られています。
ミッション中、新華社が一般から名前案を募集し、オンライン上で多く寄せられた提案をもとに最終決定が行われました。マウスは2025年11月14日、神舟20号のクルーとともに地球へ安全に帰還したということです。
帰還後に進む「ストレス」と「適応」の研究
中国科学院・動物研究所(IOZ)の専門家、李天達(Li Tianda)氏は帰還後の研究について、「一連の研究を開始した」と述べました。狙いは、宇宙環境が哺乳類の生理や行動にどう影響するかを明らかにすることです。特に、ストレス反応と環境への適応が焦点だとされています。
宇宙滞在は人間にとっても身体負荷が大きいとされますが、動物実験は「変化を細かく観察し、原因を切り分ける」ための重要な手がかりになります。今回のマウス研究は、その基礎データを積み上げる取り組みの一つとして位置づけられています。
1カ月開催の公開科学イベント—宇宙実験を“見える化”
イベントのテーマは「flying mice」。中国国家動物博物館で1カ月間開催され、宇宙計画の一部として行われた最先端の生物実験を、来場者が身近に感じられる構成だといいます。
主催は、中国科学院の宇宙利用技術・工学センターと、同・動物研究所(IOZ)の共同。研究の中身そのものに加えて、命名のような参加型の仕掛けによって、宇宙開発を「遠いニュース」から「共有できる話題」へ寄せていく狙いも読み取れます。
宇宙に行ったマウスの“名前”は小さなトピックに見えますが、その裏側では、帰還後の解析を通じて「宇宙で生きる身体」の理解を更新しようとする地道な研究が進んでいます。
Reference(s):
cgtn.com








