中国、森林・草原の遺伝資源保全が進展 14次五カ年計画でサンプル18割増
中国で、森林や草原の「遺伝資源(ジーンバンクのもとになる種子・苗など)」を守り、将来に残す取り組みが加速しています。2025年末を迎え、14次五カ年計画(2021〜2025年)の節目が近づく中、公式データで成果が示されました。
何が発表されたのか:遺伝資源の収集が大幅増
国家林業草原局(National Forestry and Grassland Administration)によると、過去5年間で中国は森林・草原の遺伝資源サンプルを約14万7,400点収集しました。これは、2020年末時点の水準と比べて180%増にあたるとされています。
「集める」だけでなく「守る」「使う」も進む
今回のデータでは、保全と活用の両面での前進が強調されています。
- 重要な在来樹種・草種の主要な遺伝資源を効果的に保全
- 希少・絶滅危惧種の遺伝資源についても保全を強化
- 主要な造林樹種で、改良品種の利用率が76%に上昇(2020年末は65%)
改良品種の利用率が上がることは、造林の効率や品質の安定につながり得る一方で、どの品種がどの地域で使われるのか、遺伝的多様性との両立がどう図られるのかといった点も、今後の論点になりそうです。
どんな施策で進んだのか:3年行動計画など
過去5年間、中国は複数の措置を展開したとされます。公表情報では、次のような方向性が挙げられました。
- 3年行動計画などによる、遺伝資源の保護・利用の強化
- 育種(品種改良)とイノベーション能力の向上
- 市場監督(流通・取引の管理を含む枠組み)の改善
保全インフラ:全国ネットワークを整備
施設面では、国家級の遺伝資源施設が7カ所整備されたほか、全国で生息地内(in situ)・生息地外(ex situ)の保全施設が209カ所整備されたといいます。
in situは自然の生息地で守る考え方、ex situは施設など生息地の外で保存する考え方です。気候変動や病害など、将来の不確実性が増すほど、複数の保全手段を組み合わせる意義は大きくなります。
いま注目される理由:2025年末、次の計画期へ
14次五カ年計画(2021〜2025年)が終盤に入るこのタイミングでのデータ公表は、「どこまで進んだか」を示す意味合いを持ちます。遺伝資源の保全は、すぐに成果が見えにくい一方で、森林づくり、生物多様性の維持、将来の環境変化への備えに直結する“長期の基盤”でもあります。
次の計画期に向けては、収集量の拡大だけでなく、希少種の保全の実効性、改良品種の普及と多様性のバランス、施設ネットワークの運用・品質管理といった「中身」がより問われていくことになりそうです。
Reference(s):
China reports progress in conserving forestry, grassland germplasm
cgtn.com








