パンダ不在を埋める「飼育員体験」──日本のテーマパークが打つ次の一手
パンダは日本の観光にとって“見に行く理由”になりやすい存在です。そのパンダが不在になる「パンダギャップ」を埋めるため、日本のあるテーマパークが「飼育員体験(keeper experiences)」に力を入れ始めています。
「パンダがいる」だけで動く人がいる──集客の現実
動物展示のなかでも、パンダは特に話題性が高く、旅行計画の決め手になりやすいとされます。写真や動画で拡散されやすく、遠方からの来園動機にもつながりやすいからです。運営側にとっては、パンダの存在が来園者数だけでなく、園内の回遊や関連体験の利用にも影響する“核”になり得ます。
「パンダギャップ」とは何か
今回のポイントは、パンダそのものの人気ではなく、人気の柱が一時的に欠けたときに、何で体験価値をつなぐかという運営の課題です。新しい目玉展示をすぐに用意できない場合、来園者の満足度や再訪意欲をどう維持するかが問われます。
代わりに伸ばすのが「飼育員体験(keeper experiences)」
パンダの穴を“別のスター動物”で埋めるのではなく、運営側が打ち出しているのが「飼育員体験」です。これは、動物の世話や施設の裏側に触れられる体験型プログラムの総称として語られています。
どんな内容が想定される?
- バックヤード見学:普段は見られない飼育エリアの一部を案内
- 給餌の準備や解説:食事の工夫や健康管理のポイントを学ぶ
- 行動観察のガイド:動物のサイン(ストレス・好奇心など)を読み解く
- 飼育員の仕事に密着:清掃や環境づくりの意図を知る
要点は、ただ「見る」から、理解して関わるへ視点を移すことです。来園者にとっては、写真映えとは別の満足(納得感・学び・記憶に残る体験)を得やすくなります。
体験型に寄せるほど、問われる「動物の福祉」
一方で、動物との距離が縮まる施策は、動物の生活リズムやストレスへの配慮が欠かせません。運営側が工夫しやすいポイントとしては、次のような設計が挙げられます。
- 人数を絞った予約制で滞在時間を管理する
- 動物に触れない・追わないなどの明確なルールを共有する
- 実施時間帯を動物のコンディションに合わせる
- 解説中心にして、刺激の強い演出に寄りすぎない
来園者の満足と動物の安定は、どちらか一方では成り立ちにくいテーマです。「飼育員体験」が広がるほど、プログラムの透明性や運用の丁寧さが価値の一部になっていきます。
2025年末の観光トレンドとも重なる「体験の再設計」
2025年の年末時点、旅行やレジャーは“目的地”だけでなく“体験の中身”で選ばれやすくなっています。パンダという分かりやすい目玉が不在でも、来園者が「行ってよかった」と感じる要素を増やせるか。今回の「keeper experiences」への転換は、テーマパークが自分たちの強みを展示から体験へ言い換え直す動きとしても読めます。
パンダの不在は痛手である一方、動物を通じた学びや仕事のリアルを前面に出すことで、別のかたちの“ファン”を育てる余地も生まれます。空白をどう埋めるかは、その施設が何を大切にしているかを映す鏡になりそうです。
Reference(s):
Japanese theme park turns to 'keeper experiences' to fill panda gap
cgtn.com








