習近平国家主席の「2026年新年メッセージ」全文から読み解く2025年の総括
中国本土の習近平国家主席が大晦日(12月31日)、2026年の新年メッセージを発表しました。 2025年が「第14次五カ年計画(経済・社会発展の5年計画)」の最終年に当たるとして、成長の手応え、技術革新、文化、暮らし、対外姿勢、そして両岸関係に言及しました。
何が語られたのか:メッセージの全体像
新年メッセージは、中国メディアグループとインターネットを通じて発表されました。内容は大きく、①2025年(第14次五カ年計画の締めくくり)の総括、②イノベーションと産業、③文化と社会政策、④国際社会との関わり、⑤香港・マカオと両岸関係、⑥党運営と反腐敗、⑦2026年から始まる第15次五カ年計画への展望、という流れで構成されています。
2025年の到達点:第14次五カ年計画の「達成」を強調
習氏は、過去5年について「多くの困難や挑戦を乗り越え、計画の目標を達成し、中国式現代化の新たな歩みを進めた」と述べました。経済面では、2025年の経済規模が「今年、140兆元(人民元)に達する見込み」だとしています。
また、総合的な国力の伸長や、生態環境について「澄んだ水と緑の山」が景観の特徴になった、国民の「獲得感・幸福感・安全感」が高まった、といった表現で成果を描写しました。
技術と産業:AI・半導体・宇宙から軍備まで幅広く列挙
「イノベーションで質の高い発展を活性化させた」として、科学技術と産業の深い融合、そして具体例を複数挙げました。メッセージに登場した主なトピックは次の通りです。
- 大型AIモデルの競争と進展
- 「自前のチップ」研究開発でのブレークスルー
- 探査機「天問2号」が小惑星・彗星探査へ
- ヤルンツァンポ川下流の水力発電プロジェクト建設開始
- 電磁カタパルト搭載の空母が正式就役
- ヒューマノイドロボットの動作デモや、ドローンのライトショー
列挙は民生・産業から宇宙、国防まで横断しており、「新たな質の生産力(新質生産力)」という言葉とともに、技術の社会実装を強調する形になっています。
文化と日常:博物館ブームから「文化IP」まで
文化面では、文化財・博物館・無形文化遺産への関心の高まりに触れつつ、新たな中国の文化遺産が世界遺産リストに加わったと述べました。さらに「悟空」や「哪吒(ナタ)」といった文化IPが世界的に人気を得た、としています。
スポーツや観光の話題としては、都市と農村の「スーパーリーグ」サッカーがファンを集めたこと、氷雪スポーツが冬の盛り上がりを生んだことにも触れ、「伝統が現代性を抱き、文化がいっそう輝く」と表現しました。
暮らしの政策:新しい働き方・高齢者支援・育児補助
生活分野では、「人々の小さなことも軽んじない」という趣旨の言葉とともに、次の施策に言及しました。
- 新しい形態の雇用における労働者の権利・利益の保護が改善
- 高齢者の利便性を高める施設の整備・更新
- 育児ニーズのある各家庭に、月300元(人民元)の補助
また、習氏はこの1年に「西蔵(シーザン)」と新疆を訪れたとも述べ、各民族が団結する様子を描写しました。
外交と国際課題:多国間会合と気候変動、グローバル・ガバナンス
対外面では、「世界は変化と動揺の中にあり、一部地域はいまも戦火に包まれている」とした上で、平和と発展に向け各国と協力する姿勢を示しました。
具体的な言及として、天津での上海協力機構サミット、女性に関する「グローバル・リーダーズ会合」の成功、海南自由貿易港での「島全体の特別な通関運用」の開始、気候変動に関する新たな国別削減目標(NDC)の発表などが挙げられています。さらに、既に掲げた「発展・安全・文明の3つのグローバル・イニシアティブ」に続き、より公正で衡平な国際秩序を目指すとして「グローバル・ガバナンス・イニシアティブ」を提起した、と述べました。
香港・マカオ、そして両岸関係:一国二制度と「血のつながり」
習氏は、国家運動会の開幕式に出席し、広東・香港・マカオが「団結し、歩調を合わせる」姿を見てうれしかったと述べました。その上で、一国二制度の方針を揺るがず実施し、香港とマカオが中国本土の発展全体により良く融合し、長期的な繁栄と安定を維持することを支持するとしています。
また、台湾海峡の両岸について「両岸の中国人は血と肉親の絆を共有する」と述べ、祖国統一は時代の流れで「止められない」との認識を示しました。
党運営:規律・作風の改善と反腐敗を強調
国内統治の文脈では、「強い中国共産党があってこそ国を強くできる」とし、党中央の「八項規定(党・政府の作風改善に関する決定)」を徹底する学習教育、厳格な党統治、腐敗との闘い、健全なガバナンスの推進などを挙げ、党と政府の作風が改善してきたと述べました。
2026年へ:第15次五カ年計画の始動と「良い計画」の重み
メッセージは、2026年が第15次五カ年計画の開始年だと位置づけ、「良い事業は良い計画と明確な目標から始まる」として、質の高い発展、改革開放の全面的深化、共同富裕の実現に向けて着実に進むと述べました。
最後は、新年の祝意とともに「高い夢、長い道のり――勇敢に進めばたどり着ける」という趣旨の言葉で締めくくられています。
SNSでの要約:今回の新年メッセージは「2025年の総括」と「2026年からの計画」が同時に語られた点が特徴です。技術・文化・生活政策・国際秩序といった幅広いテーマを、5年単位の政策枠組みの中で束ねる語り口が、今後の中国本土の発信を読み解く手がかりになりそうです。
Reference(s):
Full text: Chinese President Xi Jinping's 2026 New Year message
cgtn.com








