中国首相、国家水網の進捗確認 貿易円滑化と医薬品規制も協議
中国の李強(リ・チャン)中国首相は2025年12月31日、国務院(State Council)常務会議を主宰し、国家水網(全国規模の水インフラ網)整備の進捗報告を受けました。あわせて、越境貿易の円滑化策の横展開や、水供給に関する規則案、医薬品行政法の実施規則改正案も審議しました。
きょう何が決まったのか(要点)
- 国家水網の建設を「水資源配分の最適化」「国家の水安全保障」「防災・減災力の強化」に直結する戦略措置として位置づけ
- 越境貿易の円滑化について、既存の有効な取り組みを「複製・普及」する方針を確認
- 水供給(上水)の規則案を審議・承認
- 医薬品行政法の実施規則改正案を審議・承認(審査承認の迅速化や研究開発支援に言及)
国家水網とは何か:水の“全国ネットワーク化”が焦点に
会議は、国家水網の建設を、地域ごとの水需給の偏りをならし、渇水や洪水などのリスクに備えるための中核インフラとして位置づけました。単に「水を運ぶ」だけでなく、交通、生态保護(生態系の保全)、観光といった複数分野での機能も担い得るとし、内需拡大の重要なドライバーにもなるとの見方が示されています。
なぜ今「水」なのか
水供給と治水は、生活の基盤であると同時に、産業活動の安定にも直結します。国家水網を“点”の施設整備ではなく“網”としてつなぐ発想は、平時の効率と有事の強靭性を同時に狙う政策設計と言えます。
越境貿易の円滑化:物流を「速く、途切れなく」
会議は、越境貿易を円滑にすることが「一流のビジネス環境」の形成に不可欠だと強調しました。具体的には、越境物流をスムーズかつ効率的にし、輸送回廊(ルート)と輸送手段の連携を強め、沿海・内陸・国境地域をまたぐ輸出入貨物について、複合一貫輸送(複数の輸送手段を組み合わせる物流)の協調を深める方針が示されました。
今回のポイントは、新規施策の列挙というより、既に実施された取り組みのうち効果が見込めるものを「複製・普及」していく運用面の強化にあります。現場の通関・物流で“詰まり”が起きやすい領域ほど、標準化や部門間連携が効きやすいとされます。
水道は「水源から蛇口まで」:都市と農村を一体で
出席者からは、水供給が「すべての家庭に関わる重要事項」だとして、都市・農村の協調的な発展を重視する意見が示されました。会議は、給水システムの一体的発展を促し、水源から蛇口までをカバーする標準化されたフルチェーン(全工程)システムの構築を進めるよう求めています。
水道インフラは、更新投資や水質管理、運営体制など“見えにくいコスト”が積み上がりやすい分野です。制度と現場の運用をそろえる狙いが読み取れます。
医薬品規制:安全確保とイノベーションの両立へ
会議は、状況の変化に合わせて医薬品の行政・監督ルールを見直すことが、薬の安全と製薬産業の健全な発展に重要だとしました。研究開発(R&D)や登録制度の改善、画期的な医薬品の審査・承認の迅速化、産業の革新活力(イノベーションの勢い)を継続的に高めることが呼びかけられています。
規制の「厳格化」か「緩和」かという二択ではなく、審査の質と速度、そして市販後の監督をどう組み合わせるかが焦点になります。今回の改正案は、制度面のアップデートを通じて、そのバランスを取りにいく動きとして注目されます。
今後の注目点:インフラ・物流・医薬の“運用設計”
- 国家水網:地域間連携の優先順位、資金投入の配分、治水・利水の両立の設計
- 越境貿易:複合一貫輸送の協調をどう制度化し、現場の手続き負担をどこまで減らせるか
- 水供給:「水源〜蛇口」の標準化が、水質・コスト・災害対応にどう反映されるか
- 医薬品:画期的医薬品の迅速審査と安全監督の体制をどう整えるか
国務院常務会議で示される方針は、インフラ整備から規制運用まで幅広く波及します。2025年末のこのタイミングで、生活インフラ(水)と経済活動(物流)、そして社会の安心(医薬)を同じ会議で束ねたこと自体が、政策の優先順位を映す一つのサインと言えそうです。
Reference(s):
Premier Li chairs State Council meeting on national water network
cgtn.com








