中国、長江のスナメリ保護を10年強化へ 2026-2035行動計画を公表
中国農業農村部は、水曜日に「長江スナメリ(Yangtze finless porpoise)」の体系的な保全を強化する行動計画(2026〜2035年)を公表しました。長江流域の生態系の“健康状態”を映す象徴的な種を、次の10年でどう守り、増やしていくのかが焦点になります。
今回の発表:2026〜2035年の「行動計画」とは
計画は農業農村部と、複数の政府部門が共同で発表したものです。中心に据えられたのは、スナメリと生息地を現地(in-situ)で守ること。これを、域外(ex-situ)での保全や人工繁殖で支える枠組みだとされています。
計画が掲げる基本方針(要点)
- 現地保全(in-situ)を最優先し、生息地とあわせて守る
- 域外保全(ex-situ)と人工繁殖で取り組みを補完する
- 個体数の安定的な増加と、生息地の効果的な保護を進める
長江スナメリは「長江のいま」を映す存在
長江スナメリは、中国に残る唯一の淡水性の鯨類とされています。主な生息域は、長江の中下流域に加え、洞庭湖、鄱陽湖、そして一部の接続支流です。
また、個体群の状態は長江生態系全体の健全性を直接示す指標になるとされます。川の環境が良くも悪くも変わると、その影響が目に見える形で表れやすい――そんな“モニター役”としての意味合いも、注目が集まる理由です。
かつての減少から「反転」へ──次の課題は持続性
長江スナメリは、かつて深刻な個体数減少に直面したとされます。一方で、中国は継続的な保全努力によって、減少傾向を反転させることに成功したと説明しています。
ただ、いったん流れが変わった後に問われるのは、増加や生息地保護を長期で安定させられるかという点です。今回の2026〜2035年計画は、まさにその「次の10年」を制度的に固める狙いが読み取れます。
“旗艦・傘”としてのスナメリ:流域全体の回復につなげる
計画では、長江スナメリをフラッグシップ(旗艦)かつアンブレラ(傘)となる種として位置づけ、その役割を十分に生かして、長江生態系の包括的な保全と体系的な回復を進めるとしています。
「特定の象徴的な種を守ることが、結果として同じ環境を共有する多様な生物や生息地の保全にもつながる」という発想は、世界の自然保護でもしばしば使われる考え方です。長江では、次の10年でそれを“流域スケールの復元”へどう結びつけるのかが見どころになりそうです。
用語をやさしく:in-situとex-situの違い
- 現地保全(in-situ):野生の生息地そのものを守り、そこで暮らせる状態を維持する考え方
- 域外保全(ex-situ):施設など生息地の外で保護・管理し、保全を支える考え方
今回の計画は、この2つを「置き換え」ではなく「組み合わせ」として使う点を明確にしています。
Reference(s):
China to boost decade-long conservation of Yangtze finless porpoise
cgtn.com








