EUのCBAMが2026年1月1日発効、中国商務部「不公平なら必要措置」
EU(欧州連合)の炭素国境調整メカニズム(CBAM)が2026年1月1日に正式に発効しました。これを受け、中国商務部(MOFCOM)は同日、「不公平な貿易制限が生じるなら、必要な措置を断固として取る」との立場を示しました。
CBAMとは何か:狙いは「カーボンリーケージ」対策
CBAMは、EU域内の脱炭素政策と整合させる形で、輸入品の製造過程で出る温室効果ガス排出(炭素排出)に関する負担を調整する仕組みです。EUは「カーボンリーケージ(排出規制の緩い地域へ生産が移ることで、世界全体の排出削減が進みにくくなる現象)」を防ぐ趣旨を掲げています。
中国商務部の主張:デフォルト値設定が「不公平・差別的」
中国商務部の報道官は、EUがCBAM関連の立法提案や実施ルールを相次いで示したことに触れ、特に以下の点を問題視しました。
- 中国製品の炭素排出原単位について、基準となるデフォルト値(標準値)を著しく高く設定している
- そのデフォルト値を、今後3年間で年々引き上げる計画がある
- 対象品目の範囲を、拡大する方向で検討している
報道官は、こうした設計は「中国の現在の実態や将来の発展の軌道を反映していない」とし、中国のグリーン・低炭素分野での取り組みや成果が十分に考慮されていない、という認識を示しています。
国際ルールとの整合性:WTO原則や気候枠組みとの関係
中国商務部は、EU側の運用が世界貿易機関(WTO)の原則、たとえば最恵国待遇や内国民待遇に反する疑いがあると指摘しました。
また、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)にある「共通だが差異ある責任」の考え方にも反する、という立場です。歴史的な排出の責任や、各地域の発展段階・技術力の違いを十分に踏まえず、一方的に炭素基準を当てはめれば、気候対策と貿易ルールの間に摩擦が生まれやすくなる——という問題意識がにじみます。
「協力の用意」も明言:対話と対抗措置が並走する構図
中国商務部は、EUに対して「国際的な気候・貿易ルールに沿い、一方的措置や保護主義を避け、市場を開いた形でグリーン分野の貿易・投資の自由化と円滑化を進めるべきだ」と呼びかけました。
同時に、中国としては気候変動というグローバル課題への協力に前向きな姿勢を示しつつも、不公平な貿易制限が発生した場合には必要な措置で対応するとしています。念頭にあるのは、中国企業の正当な権益と発展利益、そして世界の産業・サプライチェーンの安定だと説明しました。
いま何が焦点になるのか
CBAMが「気候政策」か「貿易措置」かという二分法では片付けにくいのは、制度設計の細部(デフォルト値、対象範囲、算定の前提)によって、実務上の負担と競争条件が大きく変わるためです。今後は、各ルールの運用がどこまで透明で、科学的で、非差別的な形になっていくのか。気候目標と貿易の予見可能性をどう両立させるのかが、主要な論点になりそうです。
Reference(s):
China vows to take necessary measures against EU's unfair trade curbs
cgtn.com








