2026年「中国・アフリカ人的交流年」始動、70周年と第15次5カ年計画が重なる転機
2026年は、中国・アフリカ関係にとって「人的交流」を軸に協力の質を一段引き上げる年になりそうです。今年は「中国・アフリカ人的交流年」に指定され、同時に中国・アフリカ外交関係70周年、そして中国の第15次5カ年計画の開始年という節目が重なります。
「人的交流年」は象徴ではなく“戦略”
浙江師範大学の朱亜雄(Zhu Yaxiong)准教授は、人的交流年について「記念行事にとどまらず、戦略的な取り組み」だと位置づけます。第15次5カ年計画や、質の高い「一帯一路」協力の次の段階と“同時進行”で進むことに意味がある、という見立てです。
「この指定は、第15次5カ年計画の目標や、次の段階の質の高い一帯一路協力と強い相乗効果を生む、時宜を得た取り組みです」
朱氏が挙げた重点分野は、若手リーダー育成、文化交流、暮らしに関わるプロジェクト、人材インキュベーション(育成)、シンクタンク対話など。インフラ整備のような「ハードな連結」に対して、人の往来や相互理解という「ソフトな連結」を厚くすることで、協力の土台となる人的資本を強める狙いがあります。
「人と人の“ソフトな連結”は、インフラがつくる“ハードな連結”を補完します。理解が深まれば、誤解から生じるリスクも減らせます」
中国の経験は“コピペ”ではなく、アフリカが“編集”するヒント
中国滞在中のアフリカ青年代表団責任者オリヴィエ・メンドー(Olivier Mendo’o)氏は、中国の発展経験を「そのまま移す設計図」ではなく、「原則を学び、各地の現実に合わせて応用するための参考」と表現しました。
「第15次5カ年計画は、コピー&ペーストするモデルではありません。アフリカが自らの現実に合わせて適応できる“原則のプレイブック”です」
接点として挙がったのは、インフラを起点に産業化を進める順序設計、グリーン産業団地、デジタル変革。一方でアフリカ側は、拡大する消費市場、若い人口構成、イノベーション機会といった要素を通じて、中国の経済的な粘り強さ(レジリエンス)にも資する「戦略的な人口・イノベーションのパートナー」になり得る、という見方が示されています。
「アフリカは単なるパートナーではありません。中国の経済的レジリエンスを強め得る、戦略的な人口・イノベーションのパートナーです」
若者とデジタル技能——“二方向の学び”が広がる
中国・ジンバブエ交流センター副理事長のエリック・ムポナ(Eric Mupona)氏は、イノベーションや起業をテーマにした中国・アフリカの若者向けプラットフォーム、企業主導の人材育成プログラムなどを例に、「若者同士の“二方向の露出(ダブル・エクスポージャー)”が起きている」と述べました。
「アフリカの若者は中国の技術に触れ、中国の若者はアフリカ市場を学んでいます」
背景には、アフリカの人口の60%以上が25歳未満という若さがあります。ムポナ氏は、2030年までにアフリカで2億3000万人超の雇用がデジタル技能を必要とする見通しに触れ、政府と企業が連携して若手起業家の環境整備を進める必要性を強調しました。
メディア交流の課題:情報源の偏りをどう埋めるか
朱氏は、メディア・知的交流に進展はあるとしつつも、「多くのアフリカの若者が、中国に関する情報を西側メディアに依存している」というギャップを指摘しました。共同でのコンテンツ制作、アフリカ側メディアの関与拡大、デジタルプラットフォームの活用が鍵だといいます。
「橋」になるという若者の役割——当事者性をどう表現するか
ムポナ氏は、自身が習近平国家主席から返信を受け取った61人の若手中国学者(若手シノロジスト)の一人として、対話の担い手になることへの責任感を語りました。
「習主席は私たちに、文明間対話の“橋”になるよう励ましてくれました。それは真剣に受け止める責任です」
メンドー氏もまた、両者の関係を形づくる上で「アフリカ側の主体性(アフリカの視点)が、よりよく表現されるべきだ」と呼応しました。人的交流年が問いかけるのは、交流の“量”だけでなく、誰が語り、どんな言葉で相互理解を積み上げるのか、という“質”なのかもしれません。
- 注目点:人的交流(教育・文化・人材育成)を「協力の基盤」として位置づけ直す動き
- 焦点:若者・デジタル技能・メディア共同制作が、今後の関係の手触りを左右する可能性
Reference(s):
cgtn.com








