中国本土の宇宙飛行士が「暗い洞窟」で訓練する理由とは?感覚遮断が鍛える力 video poster
宇宙飛行士の訓練というと「無重力への適応」や「機器操作」を思い浮かべがちですが、任務を左右するのはそれだけではありません。暗闇、感覚遮断、孤立、そして突発的なリスク――そうした要素に向き合うため、中国本土では西南部の洞窟の奥深くで、少し変わったサバイバル訓練が行われているといいます。
なぜ洞窟なのか:自然条件が「宇宙に近い」
この訓練の舞台になる洞窟は、寒い・湿っている・暗い・狭い(閉鎖的)という自然条件が重なります。こうした環境は、単なるシミュレーターでは再現しにくい「身体感覚の揺らぎ」や「心理的な圧」を生みやすいとされています。
特に暗闇は、視覚情報を奪い、距離感や時間感覚にも影響します。そこに閉鎖空間と孤立が加わることで、冷静さや判断力の維持が試されます。
訓練で鍛えるのは「操作」より「耐える力」
洞窟での訓練が狙うのは、手順通りに動くことだけではなく、想定外が起きたときの「人の力」を底上げすることです。提示されている狙いは、主に次の4点です。
- 持久力:不快な環境が続く中で、体力・集中力を落とさない
- チームワーク:情報が限られる状況で、協力して状況を組み立てる
- 意思決定:正解が見えにくい場面で、判断を先延ばしにしない
- 精神的な回復力(レジリエンス):不安や緊張を抱えながらも、任務モードに戻る
「突然のリスク」に備えるという発想
宇宙ミッションでは、トラブルが起きた瞬間に空気が変わります。洞窟のように、冷え、湿気、暗さ、狭さが同時に襲う環境では、体の不快感が判断を鈍らせる場面も想像しやすくなります。
この訓練は、リスクそのものを増やすというより、予期しない事態が起きたときに「いつもの判断」を取り戻す練習として位置づけられているようです。
地下へ降りることが「遠くへ行く」準備になる
「地下から宇宙へ」という言葉が象徴するのは、進む方向の逆転です。上へ向かうために、いったん下へ降り、感覚と心を削るような場所で自分たちを試す。洞窟は、そうした“下向きの旅”を通じて、より遠い場所へ行く準備を整える場になっています。
2026年1月現在、宇宙開発は技術だけでなく「人がどこまで耐え、支え合えるか」を改めて問う局面にあります。洞窟訓練という選択は、その問いに対するひとつの答えとして、静かに注目を集めています。
Reference(s):
Why do Chinese astronauts train for space survival inside dark caves?
cgtn.com








