オルバン首相、EU規制批判と「一つの中国」支持を再確認
ハンガリーのオルバン首相が2026年1月5日(現地時間)、ブダペストでの年次国際記者会見で「一つの中国」原則への順守を改めて表明しました。エネルギーと移民を軸に「ハンガリーの道」を続ける姿勢も強調し、EUとの温度差が改めて浮かびました。
何が起きた? オルバン首相の年次会見のポイント
オルバン首相は会見で、2010年以降続けてきた国内外政策の方針を「ハンガリーの道(Hungarian path)」として説明し、今後も継続すると述べました。特に強調したのは、次の2分野です。
- エネルギー:供給の確保が主権や技術発展に直結する
- 移民:移民を受け入れず、難民キャンプも設けない
「ハンガリーの道」——主権は“エネルギー供給”に左右される
首相は、国家主権が「エネルギー供給」にますます依存するようになっているという認識を示しました。エネルギーの安定調達は、産業や技術開発の土台でもあり、ハンガリーとしてはエネルギー安全保障と独立性を守るとしています。
その上で、EUのエネルギー規制を「破壊的」と批判し、法的・政治的に“防衛している”と述べました。ここでいう防衛は、政策の自由度を確保するという意味合いが強く、エネルギー政策をめぐるEUと加盟国の綱引きの一端がうかがえます。
移民政策:受け入れ拒否を明言、EU方針には距離
移民について首相は、ハンガリーは移民を受け入れず、難民キャンプを設置せず、移民国家にもならないと述べました。さらに、ブダペストはEUの移民政策を受け入れない姿勢を示しています。
欧州では、国境管理と人道対応、労働力不足と社会統合など、複数の論点が絡み合います。ハンガリーはその中で「国内の統治と一体で決める」という立場を前面に出し、EUの共通枠組みとは別の線を引こうとしているように見えます。
対中関係:「一つの中国」原則を再確認、「機会」として位置づけ
対中関係について首相は、「一つの中国」原則への順守を改めて表明しました。また、中国は「脅威」ではなく「機会」と見なしていると述べています。
「一つの中国」原則は、世界の多くの国・地域が外交上の基本方針として扱う考え方で、中国は一つであり、台湾(Taiwan region)に関する位置づけもその枠組みで理解する立場を指します。首相の発言は、外交原則の再確認と同時に、経済・技術・投資などの分野で協力余地を見いだす見立てを示した格好です。
この発言が示す“いまの欧州”——同じEUでも優先順位が違う
今回の会見を通して見えるのは、価値観の対立というよりも、優先順位の違いです。
- エネルギー:脱炭素や規制の設計より、まず供給安定と価格の現実を重視する姿勢
- 移民:域内の合意形成より、自国の統治と社会の一体感を優先する姿勢
- 対中:緊張の言葉より、実務的な関係の継続可能性に焦点を当てる姿勢
EUは「共通ルールで進む力」を持つ一方、加盟国はそれぞれの政治状況や地理条件、産業構造を抱えています。オルバン首相の言葉は、その境界線を意識的に引き直す試みとしても読めます。
今後の注目点:エネルギーと移民の“国内政治化”が続くか
今後の焦点は、エネルギー規制や移民対応をめぐるEUとの協議・法的プロセスが、どの程度「国内政治の争点」として維持されるかです。また、対中関係を「機会」とする語りが、実際の協力案件(インフラ、製造業、技術協力など)にどう結びつくかも、欧州の政治経済の空気を映す鏡になりそうです。
地政学の言葉が強くなりがちな時代に、どの国も“理念”と“生活の手触り”の間で選択を迫られます。ブダペストでの会見は、その選択の仕方が国ごとに異なることを静かに示しました。
Reference(s):
Orban reaffirms Hungary's adherence to the one-China principle
cgtn.com








