中国本土で硫化水素処理に突破口、DICPが高純度水素と硫黄を同時回収
中国本土で「硫化水素(H2S)」処理の難題に新たな解決策が示されました。中国科学院・大連化学物理研究所(DICP)の研究チームが開発した技術が、きょう2026年1月6日(火)に検証されたと伝えられています。
何が起きた?——有毒ガスを“資源”に変える技術
硫化水素は強い毒性を持ち、天然ガスの採掘、石油精製、石炭化学プロセスなどで副産物として発生しやすい物質です。産業現場では「完全除去」と「資源としての有効利用」が長年の課題でした。
今回の技術は、硫化水素を分解し、高品質の硫黄と高純度の水素を得ることを狙ったものです。研究チームは20年以上にわたり、光分解(フォトリシス)や電気化学的手法を検討し、大規模化(スケールアップ)に伴う課題の解決に取り組んできたとされています。
実証プロジェクトでは「ほぼ100%転化」
この技術は現在、石炭化学の実証プロジェクトで適用されており、年間10万立方メートルの硫化水素の除去と資源化を目標に掲げています。データによると、硫化水素の転化率はほぼ100%で、生成物として高品質硫黄と高純度水素が得られているといいます。
なぜ注目?——環境負荷の低減とエネルギー利用の両立
研究チームは、中国本土の天然ガス井戸の中には硫化水素濃度が高いことを理由に開発が難しいものがあるとし、この技術によって環境・生態面の課題に対応しつつ、水素と硫黄を生産できる可能性に言及しています。
DICPの研究者で中国科学院の院士でもある李燦(Li Can)氏は中国メディアグループに対し、次のように述べたと伝えられています。
- 「硫化水素含有量が高いために開発できない天然ガス井戸が多い。この技術で環境・生態の問題に対応しつつ、水素と硫黄も生産できる」
- 「特に水素を安全に、低コストで、大規模に生産できる。燃料電池に直接利用でき、航空宇宙などの産業でも活用可能だ」
今後の焦点:実装のスピードと“現場適用”の広がり
このニュースが示すポイントは、単なる有害物質の除去にとどまらず、工程の中で発生する課題を「回収可能な資源」に変える発想です。今後は、実証からより広い産業適用へ進む中で、次の点が注目されます。
- 長期運転での安定性:連続運転時の性能維持や保守性
- コスト構造:既存の除去・回収プロセスと比べた総コスト
- 安全設計:有毒ガスと水素を扱う現場でのリスク管理
- 適用範囲:天然ガス、精製、石炭化学など各分野での横展開
「脱炭素」だけでなく、化学産業の現場課題をどう減らし、価値を生むプロセスに組み替えるか。硫化水素という扱いの難しい物質をめぐる今回の進展は、その問いに具体的な手触りを与える動きとして注目されそうです。
Reference(s):
cgtn.com








