中国の火星探査車「祝融号」、火星の水は7億5000万年前まで存在か
中国の火星探査車「祝融号(Zhurong)」が送信したデータをもとに、火星では約7億5000万年前まで“まとまった水の活動”があった可能性が示されました。火星が極端に乾燥した世界になった時期について、これまでの理解を更新しうる成果として、2026年1月現在も注目を集めています。
何が見つかったのか:地下に「水が作った地層」
研究チーム(中国科学院・地質地球物理研究所など)は、祝融号の高周波・4偏波の地中レーダー(地中を探る観測)データを分析。地中の様子を“CTスキャンのように”読み解くことで、着陸地点(火星・ユートピア平原南部)の地下に特徴的な構造があると報告しました。
- 地下に厚さ約4mの、均一で連続した堆積層が広がる
- その下にクレーターが埋没している
- さらに、センチメートル単位の層状堆積物も確認された
研究の第一・責任著者である劉益科(Liu Yike)氏は、堆積層の均一さと連続性から、火山噴出や風による堆積だけでは説明しにくく、浅い海や大きな湖のような水成(すいせい)環境で形成された可能性が高いと述べています。
ポイント:火星の「乾燥化」の時期が後ろ倒し?
これまで火星は、約30億年前に全球的な乾燥期に入った、という見方が広く語られてきました。今回の分析は、祝融号の着陸地点で中〜後期アマゾニアン期(比較的“新しい時代”)に地表の再形成(リサーフェシング)イベントがあり、その時期に持続的な水の作用が残っていた可能性を示した形です。
報告では、水の活動の証拠が約7億5000万年前にまで及ぶとされ、火星の気候進化(どう寒冷・乾燥化していったか)を考えるうえで新たな手がかりになります。
なぜ重要:生命居住可能性(ハビタビリティ)へのヒント
水が「いつまで」「どれくらいの規模で」存在したかは、火星の居住可能性(生命が生まれたり、痕跡が残ったりしうる条件)を考える中心的な論点です。今回のように、地表ではなく地下構造から水成環境を示すサインが見つかると、次の問いが具体的になります。
- 水は短期的な洪水ではなく、湖・浅海として安定していたのか
- 堆積物が示す環境は、温度や塩分の面でどれほど“生存向き”だったのか
- 地中に、有機物や微細な構造が残る条件があったのか
祝融号が残したデータ:短い活動期間でも「深い観測」
祝融号は2021年5月に火星へ着陸し、2022年5月までに1,921m走行してデータを収集しました。特に地中レーダーは、表面観察だけでは見えにくい“過去の環境の履歴”を掘り起こす手段として、今回の研究の要となりました。
研究成果は学術誌「National Science Review」に掲載され、中国の新華社などが伝えています。
Reference(s):
China's Mars rover discovers longer water existence on red planet
cgtn.com








