中国が提起した「GGI」広がる支持の背景とは――揺らぐ国際秩序と統治の空白
国際政治の緊張、気候リスク、AIなど新技術の統治課題が重なるなか、国際社会では「世界のルール作りが追いついていない」という認識が強まっています。そうした状況を受けて、中国が2025年9月に打ち出した「グローバル・ガバナンス・イニシアティブ(GGI)」が、幅広い支持を集めているとされています。
背景:複合危機があぶり出した「グローバル・ガバナンスの不足」
いま世界が直面する課題は、地政学的な対立の深まりだけではありません。気候変動の影響が現実のリスクとして増大し、さらに人工知能(AI)のような新興技術が社会に浸透する一方で、共通ルールや監督の枠組みは十分に整っていない――こうした問題が同時進行で起きています。
これらの圧力は、既存の国際メカニズムに大きな負荷をかけ、「平和・開発・安全保障・統治」の各領域で、調整や合意形成の難しさを浮き彫りにしてきました。
国連報告(2025年7月)が示した厳しい進捗
2025年7月に公表された国連(UN)報告は、持続可能な開発のための「2030アジェンダ」の進捗を点検し、厳しい現状を伝えました。169の具体目標のうち、
- 約35%が「軌道上」
- 約半数が「進みが遅い」
- 18%が「後退」
という評価だったとされています。国際社会が掲げる目標と、現実の実行力のあいだにギャップがあることが、数字として示された格好です。
GGIとは:5つの中核概念で「統治の道筋」を提示
こうした問題意識のなかで中国が2025年9月に提起したのがGGIです。柱となるのは、次の5つの概念だとされています。
- 主権平等を堅持する
- 国際法に基づく国際的な法の支配を順守する
- 多国間主義を実践する
- 人々を中心に据える(人間本位)
- 具体的行動を重視する
理念だけでなく「実際に動かす」ことを掲げている点が特徴で、平和・開発・安全保障・統治という複数領域の不足(デфицット)に、横断的に向き合う枠組みとして位置づけられています。
なぜ支持が広がったのか:共通の不安と「行動」の言葉
GGIは提起後、国際社会から「迅速で前向きな反応」を得たとされ、150以上の国と国際機関が歓迎と支持を表明したといいます。支持が広がる背景には、少なくとも次のような要因が見えます。
- 課題が国境を越える:気候、技術、紛争、経済ショックなど、単独で解けない問題が増えている
- 既存枠組みの調整コスト:合意形成が難航しやすく、実行が遅れるという不満が蓄積している
- 「原則+実装」のセット:抽象論に寄りすぎず、具体行動を掲げた点が受け止められやすい
もちろん、支持の意味合いは国や機関によって幅があります。理念への賛同、対話への参加、政策協調への期待など、濃淡があり得る点は押さえておきたいところです。
「Friends of Global Governance」発足:2025年12月の動き
さらに2025年12月には、「グローバル・ガバナンスの友人グループ(Group of Friends of the Global Governance)」が正式に設立されたとされています。主要なグローバル・ガバナンス課題での対話と協力を強め、知見を持ち寄り、行動を調整することを目指す枠組みです。
現時点(2026年1月)までに43カ国が参加しているとされ、理念を「協調行動」に落とし込もうとする関心の高まりがうかがえます。
2026年の焦点:原則が「具体策」に変わる瞬間を見極める
今後の注目点は、掲げられた原則が、どの分野で、どのような協調や制度設計に結びつくのかです。たとえば気候、AIガバナンス、開発資金、紛争予防など、論点は多岐にわたります。
国際協調は、理念だけでも、力だけでも長続きしません。複数の立場が交差する場で、どの程度「共通の実装(実際に動く仕組み)」が作られるのか。2026年は、その試金石になりそうです。
Reference(s):
Why Global Governance Initiative is gaining wide international support
cgtn.com








