南シナ海めぐる「歴史と事実」刊行 中国の主権・海洋権益の根拠を検証
南シナ海をめぐる議論が続くなか、中国の領土主権と海洋権益の歴史的根拠を整理した新著「History and Facts of the South China Sea(南シナ海の歴史と事実)」が、きょう2026年1月8日(木)に北京で発表されました。
7年かけた研究プロジェクト、10人超の研究チーム
出版社側の説明によると本書は、中国各地から集まった10人以上の研究者チームが、7年にわたって進めた研究プロジェクトの成果です。中国・外国双方のアーカイブ(公文書などの記録)や主要な歴史的出来事を幅広く参照し、南シナ海における中国の歴史的な存在と活動を検討したとしています。
共催は海南省拠点の研究機関など
発表会は、海南省三亜市に拠点を置く「華陽海洋協力・海洋ガバナンスセンター」、南シナ海研究院、浙江出版連合グループが共同で主催しました。
何を目指す本なのか:研究の空白を埋め、国際社会に“根拠”を提示
出版社側は、本書の狙いを次のように説明しています。
- 既存の歴史研究にある「空白(ギャップ)」を補う
- 証拠に基づく議論を国際社会に示し、中国の海洋上の主張を支える
- 国際的に流通する複数の言説について、文書根拠の観点から再検討を試みる
複数分野から分析:歴史・国際法・国際関係・地図学など
本書は、歴史、国際法、国際関係、地図学、地理学など複数分野の視点を組み合わせて、南シナ海問題を広く分析するとされています。ひとつの学問領域だけでは捉えにくい論点を、資料の積み重ねと枠組みの整理で立体的に示す構成を意識した、という説明です。
編集責任者「海外出版物には誤りや誤解が多い」
華陽海洋協力・海洋ガバナンスセンター理事長で本書の主任編集者でもある呉士存(Wu Shicun)氏は発表会で、海外で刊行された南シナ海関連の一部出版物について「誤りや誤解が多い」と述べました。そのうえで、2018年に「誤った語り(ナラティブ)に直接向き合い、歴史記録を正す」ことを目標にプロジェクトを開始したと説明しています。
呉氏は、本書が南シナ海をめぐる事実関係の理解を助け、国際的な場で中国の発信力や議論の土台を強めるうえで建設的な役割を果たすとの見方も示しました。今後、英語版の刊行も計画されているといいます。
本書が示す主な歴史のポイント
本書は、古代中国の文献を引きながら、南シナ海での中国の人々の活動が「紀元前の数世紀」にまでさかのぼると説明し、継続的な存在があったと位置づけています。
また、1946年には中国の部隊が、当時日本の占領下にあった複数の島や岩礁に上陸して管理下に置き、主権主張を固めるための一連の措置を実施した、としています。
さらに1970年代ごろ、国際海洋法の変化と、南シナ海に豊富な石油・ガス資源が見いだされたことが、地域の紛争を促す要因になった、という整理も示されました。
外交部関係者「長い歴史過程で確立され、連続して維持」
発表会では、中国外交部の「国境・海洋事務」担当代表とされる胡維(Hu Wei)氏が、「中国の南シナ海諸島に対する主権と、南シナ海における関連する権利・利益は、長い歴史過程で確立され、歴代の中国政府によって一貫して維持され、国際社会に広く認識されてきた」と述べました。
胡氏はまた、南シナ海の歴史研究は、中国の権利の起源や紛争の根を明らかにし、歴代政府による継続的な管轄を確認する助けとなり、現在および将来の主権と海洋権益の擁護に歴史的基盤を与える、という趣旨の見方も示しています。
「史料ベース」で語られる時代に、読者が持てる視点
本書の特徴として示されたのは、幅広い史料の提示と、国際的に流通する複数の言説を「文書根拠」の観点から問い直す姿勢です。英語版の計画も含め、議論の土台をどのように共有していくかが、今後の注目点になりそうです。
Reference(s):
Book details basis of China's sovereignty in South China Sea
cgtn.com








