中国本土で再注目の翡翠:古代の石がいま“身につける美”へ
中国本土のショッピングモールや骨董市で、翡翠(ひすい)のジュエリーが放つ透明感のある緑の輝きが、あらためて人の目を止めています。 2026年のいま、翡翠は「きれいな石」を超えて、長い歴史の文脈ごと身につける存在として語られています。
モールでも骨董市でも目に入る、翡翠の“わかりやすい存在感”
店頭でひときわ印象に残るのは、翡翠特有のつやと、やわらかく光を抱え込むような質感です。明るい緑の色味は識別もしやすく、ジュエリーとしての華やかさと、どこか静かな気配を同時にまとっています。
そして、その魅力を支えているのが、見た目だけではない「意味」の層です。翡翠は中国文化の中で、純粋さ、力、精神的なつながりを象徴するものとして、現在まで深く共鳴し続けてきました。
新石器時代の墓から現代ギャラリーへ——翡翠が“時間を渡る”理由
翡翠のレガシーは、新石器時代の埋葬遺跡から、現代のアートギャラリー、そして世界的に知られる博物館や展示へと連なります。数千年単位で受け継がれてきた素材が、社会の変化とともに解釈され直しながら残ってきた——そこに翡翠の特別さがあります。
『説文解字』が語る翡翠の「五つの徳」
古代中国の字書『説文解字』では、許慎が玉(翡翠を含む玉石)を「美しい石であり、五つの徳がある」と定義しています。内容をいまの言葉に寄せると、次のようなイメージです。
- 仁(やさしさ):つやと輝きに温かみがある
- 義(正しさ):内側の柔らかさが外から見え、内面の良さを映す
- 智(知恵):音色が落ち着き、高く、遠くまで響く
- 勇(勇気):折れても、ねじ曲げられない
- 潔(清らかさ):鋭い縁があっても暴力のためではない
宝飾品を眺める行為が、単なる鑑賞にとどまらず、「どうありたいか」という感覚にふっと触れる——翡翠はそうした回路を文化として持ってきたのかもしれません。
装身具、祭祀、埋葬、道具——“美”と“強さ”が同居する石
中国の初期には、翡翠は装身具としてだけでなく、祭祀の道具、墓における死者の守り、さらには道具としても用いられてきたとされます。ここで重要なのは、翡翠が美しいだけでなく、多くの石とは異なる「粘り強さ(タフさ)」を持つ点です。
見た目の繊細さと、素材としての強さ。その同居が、儀礼や守りといった用途のイメージを支え、現代の「身につける美」にもつながっているように見えます。
2026年の“翡翠デザイン”が映すもの
現代のギャラリーや展示空間で翡翠が扱われるとき、素材は「古いもの」ではなく、「いまの美意識を映すもの」になります。モールのショーケースであれ、骨董市の一角であれ、そこにあるのは単なるトレンドではなく、長い時間を折り畳んだような感触です。
ひとつの石が、純粋さや力、精神性と結びつきながら、装飾にも道具にもなってきた歴史。2026年の私たちが翡翠に惹かれるのは、その“意味の厚み”が、静かに生活の中へ戻ってきているからなのかもしれません。
Reference(s):
Design in China: Jade's allure from ancient stone to modern beauty
cgtn.com








