ガーナの学校で中国語が広がる理由:新カリキュラムと段階導入の現場
ガーナでこのほど、基礎教育から高校段階までを対象にした中国語カリキュラムが公式に始まりました。狙いは「語学の選択肢を増やす」だけでなく、貿易・外交・技術協力の現場で使える人材を育てることにあります。
何が起きた?――中国語カリキュラムを全国枠組みで導入
ガーナのカリキュラムを所管する国家カリキュラム・評価評議会(NaCCA)が、中国語の学習内容を体系化し、基礎教育(Basic)、ジュニアハイスクール(JHS)、シニアハイスクール(SHS)へと展開する設計を打ち出しました。NaCCAのカリキュラム担当アクティング・ディレクター、レジナルド・クワーティ氏は、中国語を「象徴」ではなく、経済や外交の現実に即したスキルとして位置づけています。
なぜ今、中国語なのか――経済活動と国際協力の“実務言語”
クワーティ氏によると、ガーナ国内では医療、治安、インフラなど複数分野で中国企業の活動が広がり、現場で橋渡しできる人材の必要性が高まっているといいます。英語が共通語として機能する一方で、通訳・交渉・調整といった実務の細部では、相手の言語で意思疎通できることが強みになります。
中国語学習は、貿易や外交に限らず、技術分野の協力や国際的な仕事の選択肢を増やす「追加の武器」として語られています。
教室にどう落とし込む?――“移植”ではなく、ガーナの枠組みに合わせる
ガーナの教育制度は「6-3-3-4」を基本とし、運用面では英国型の影響も受けています。今回の中国語カリキュラムは、そのまま外から持ち込むのではなく、ガーナの共通コア・プログラム(Common Core Program)に合わせて設計された点が強調されています。
クワーティ氏は、文化の押し付けではなく、学習の中で両文化の共通点を見いだす工夫をしたと説明します。例として挙げられたのは、勤勉さ、誠実さ、逆境への強さ(レジリエンス)といった価値観です。
一気に全国一斉ではない――段階導入の現実
「公式スタート」といっても、2026年1月時点で、すべての学校にすぐ中国語が入るわけではありません。導入は段階的で、まずは訓練を受けた教員と設備がそろう学校から始め、順次拡大していく方針です。
- 先行導入:既に教員が確保できている学校
- 教員養成:大学や教育系機関での人材育成を拡充
- 長期運用:フランス語教育でも教員不足が残る現実を踏まえ、継続投資が前提
教員研修では、ケープ・コースト大学の孔子学院が支援し、ガーナ人・中国人双方の指導者育成に関わっているとされています。NaCCAは今後、教員養成課程(カレッジ・オブ・エデュケーション)への中国語トレーニング組み込みも視野に入れています。
「学んだ先」に手応え――通訳の仕事につながる例も
初期の反応は前向きだといいます。ケープ・コースト大学の孔子学院の10周年行事では、学生が中国語の学習成果を披露し、保護者や政策関係者、企業関係者の注目を集めたとされます。
すでに中国企業向けの通訳業務に関わる学生もいるという話は、「学校の勉強が仕事に接続する」イメージを具体化します。英語に加えて中国語が使えることが、就業機会や国際競争力につながる――そうした期待が、保護者・地域社会・企業側の支持にもつながっているようです。
ガーナだけではない――アフリカで進む“第二外国語”の再設計
ガーナの動きは、大陸規模の潮流とも重なります。ナイジェリアなどでも中国語を教育枠組みに取り入れる動きがあるとされ、アフリカでの中国語学習は「特別な専門」から「現実的な選択肢」へと位置づけが変わりつつあります。
加えて、中国の奨学金や大学連携が、家計や政府にとっての教育費負担を和らげつつ、工学・医療・技術などの進路を開く仕組みとして語られている点も注目されます。
FOCAC(2025〜2027)と教育――言語が“協力のインフラ”になる
FOCAC(中国・アフリカ協力フォーラム)の北京行動計画(2025〜2027)では、学生交流、研究協力、技能開発などの協力が見込まれています。NaCCA側は、中国語教育を「語学科目」ではなく、分野横断の協力を回すための土台(インフラ)として捉えているのが特徴です。
段階導入の地道さは残る一方で、教育政策としての中国語は、ガーナの産業・外交・技術協力の現場と、学校教育の接点を増やす試みとして静かに輪郭を強めています。
Reference(s):
cgtn.com








