香港でノーベル受賞者6人が語る「基礎研究」の力——HKU×リンダウが論壇
科学技術や医療、そして経済の前進は、目に見える成果の“手前”にある基礎研究から始まる——その原点を、ノーベル賞受賞者たちが香港で語りました。
HKUとリンダウが共同開催、「Nobel Heroes Forum」
香港大学(HKU)とリンダウ・ノーベル賞受賞者会議は2026年1月12日(月)、フォーラム「The Nobel Heroes Forum: Shaping Science and Future」を共同開催しました。会場にはノーベル賞受賞者6人が集い、基礎研究が科学・テクノロジー・健康・世界経済の進歩をどう支えてきたかについて議論が行われました。
議論の焦点:原子・分子レベルから、複雑系の普遍原理まで
フォーラムではパネル討論を通じて、主に次のテーマが掘り下げられました。
- 物理学・化学の基礎的発見が、原子・分子レベルで新しい可能性をどう開いたか
- 生物学や金融のような「複雑なシステム」を支配する普遍的な原理をどう捉えるか
「発見を応用へ、そして人類の利益へ」——HKU学長
HKUの学長である張翔(Zhang Xiang)氏は、「6人のノーベル賞受賞者の洞察を通じて、基礎科学を前進させ、発見を実用的な応用へと翻訳し、人類に利益をもたらす方法を学びたい」と述べました。
2026年はリンダウ会議75周年、若手との“世代間対話”を強化へ
リンダウ・ノーベル賞受賞者会議のエグゼクティブディレクター、Nikolaus Turner氏は、今年(2026年)が同会議の75周年に当たることに触れつつ、受賞者たちを香港に迎えられたことへの喜びを表明しました。あわせて、香港からの人材をさらに惹きつけ、若手研究者とノーベル賞受賞者の「世代を超えた交流」を持続させるためのパートナーシップ構築に期待を示しました。
受賞者からのメッセージ:国際協力、プロとしての姿勢、失敗との付き合い方
登壇した受賞者からは、研究環境や研究者の心構えに関する示唆も共有されました。
- 2023年ノーベル物理学賞受賞者でHKUのレーザー物理学講座教授でもあるFerenc Krausz氏は、香港の学術環境の受容性と国際協力を育てる力が、研究の継続的な前進につながっていると述べました。
- 2010年ノーベル物理学賞受賞者のKonstantin Novoselov氏は、課題解決を楽しみ、境界を破ることに向き合う「科学におけるプロフェッショナリズム」を強調しました。
- 2002年ノーベル化学賞受賞者のKurt Wuthrich氏は、若い科学者に向けて、自分自身の判断を信じ、失敗を受け止めながら前に進むことを促しました。
リンダウ会議とは:戦後の和解構想から国際的な知の場へ
リンダウ・ノーベル賞受賞者会議は1951年に「戦後の和解の取り組み」として設立され、当初は物理学、化学、生理学・医学を対象として始まりました。その後、2004年に経済学へと拡張され、現在はグローバルな学術課題を議論する国際フォーラムとして位置づけられています。
基礎研究は、すぐに利益や製品に結びつかないこともあります。それでも、原子・分子の理解から複雑系の見取り図まで、遠回りに見える問いが社会の“次の当たり前”を形づくる——今回のフォーラムは、その時間軸を静かに思い出させる場となりました。
Reference(s):
Nobel laureates forum underscores significance of fundamental research
cgtn.com








