中国本土主導の国際科学誌「Vita」2026年春創刊へ 生命科学の新たな発信拠点に
中国本土が主導する生命科学・バイオメディシン分野の国際学術誌「Vita」が、2026年春に創刊される予定です。研究成果の発表基盤が揺れ動くなか、オープンアクセス(誰でも読める公開型)で、しかも著者負担なしを掲げる点が注目されています。
「Vita」とは何か:生命科学の“国際誌”を中国本土主導で
発表したのは西湖大学(Westlake University)で、同誌は生命科学とバイオメディシンの分野でトップ層の評価を目指す「フラッグシップ国際ジャーナル」と位置づけられています。
誌名のVitaはラテン語で「生命」を意味し、分野の焦点を示すと同時に、国境を越えた包摂的な学術ビジョンを込めた名称だと、編集長の李党生氏は説明しています。
いつ読める? 2026年の公開スケジュール
2026年1月13日時点で、創刊準備は「着実に進んでいる」とされています。現時点で示されている見通しは次の通りです。
- 2026年第1四半期(1〜3月):オリジナル研究論文の第一弾をオンライン公開
- 2026年春:ジャーナルとしての本格ローンチ
- 2026年6月:紙版(プリント版)を発行予定
国際標準逐次刊行物番号(ISSN)を取得済みで、世界各地の著名な科学者約100人で構成する専門家助言委員会も設置したといいます。また、最初の原著論文は「最終審査段階」にあるとされています。
プレプリントとも連携:「Langtaosha Preprint Server」とは
Vitaは、生命科学・バイオメディシンの研究者が査読前の成果を迅速に共有できる場として位置づけられた「Langtaosha Preprint Server」と連携します。このプラットフォームは、深圳医学科学院(研究・トランスレーション)主導で、深圳湾実験室、清華大学、西湖大学が共同で構築したとされています。
学術出版では、査読付き論文に至る前段階としてプレプリントが存在感を増しています。Vitaがプレプリント連携を前提に設計されている点は、研究のスピードと透明性をどう両立するか、という現在進行形の課題とも重なります。
なぜ今「国内発の世界級ジャーナル」なのか
西湖大学によると、中国本土はこの10年ほどで生命科学研究における存在感を高めてきた一方で、高品質な国内ジャーナルの発展が十分に追いついていないという問題意識があるといいます。西湖大学の施一公学長は、国際的に認知される世界級ジャーナルを中国本土主導で確立することは「必要であり、緊急でもある」と述べています。
研究成果がどこで、どのような基準で編集・評価され、誰に届くのか。Vitaの創刊は、論文の「掲載先」を超えて、学術コミュニケーションの基盤づくりそのものに踏み込む動きとして読めます。
運営モデル:オープンアクセス、著者負担なしを掲げる
Vitaは、厳格な学術基準を支える「専門的な編集チーム」を整備し、研究の革新性と信頼性を確保するとしています。運営面では、
- オープンアクセスで公開
- OA費用や掲載料を著者に請求しない
という方針が示されました。オープンアクセス拡大の一方で、費用負担のあり方が各国・各機関で議論されている中、どのように持続可能性と編集の独立性を両立させるかが、今後の焦点になりそうです。
共同設立体制:高等教育出版社と西湖大学が中核
Vitaは高等教育出版社と西湖大学が共同で設立し、Life Science Open Allianceと連携して進めるとされています。国際委員会の顔ぶれ、初期に掲載される研究領域、査読・編集プロセスの透明性など、創刊後の運用が評価を左右するポイントになりそうです。
今後の見どころとしては、2026年第1四半期のオンライン公開でどのような研究が並ぶのか、プレプリント連携が研究者の投稿・引用行動にどんな変化をもたらすのか、そして「著者負担なし」のオープンアクセスが長期的にどう運用されるのかが挙げられます。
Reference(s):
cgtn.com








