中国本土初の深海3D掘削ロボ、南シナ海で実証—地層をその場で監視
中国本土で初めて、深海の地層内を「掘削しながら、その場(in-situ)でリアルタイム監視」できるロボットが、南シナ海での試験運用に成功しました。深海資源探査と海底下環境の理解を同時に進める技術として注目されます。
何が発表された?(2026年1月14日)
中国自然資源部の中国地質調査局によると、南シナ海で深海地層の三次元(3D)掘削とモニタリングが可能なロボットの試験に成功しました。開発は広州海洋地質調査局(GMGS)が独自に行ったとしています。
ロボットの概要:掘って、測って、記録する
今回のロボットは、掘削システムと複数のセンサーを搭載し、広い範囲・長時間・多項目のデータを現場で取得できるのが特徴です。試験では水深1,264メートルで運用され、各種性能指標が設計要件を満たしたと報告されています。
公表された主なスペック
- 高さ:2.5メートル
- 重量:110キログラム
- 試験水深:1,264メートル(南シナ海)
- データ取得:2,000セット超(メタン濃度、溶存酸素、地層構造情報など)
「その場監視(in-situ)」が意味すること
深海の地下環境は、低温・高塩分・地質の不安定さなどが重なり、観測や作業の難度が高い領域です。掘削と同時に、その地点の化学・地質情報をリアルタイムで積み上げられれば、試験海域の地質的背景をより立体的に把握しやすくなります。GMGSの技術者、朱楊涛氏は、研究航海で狙った地層を対象にリアルタイム監視を実施したと説明しています。
深海で動かすための工夫:AI×測位×障害物回避
発表によると、深海特有の条件に対応するため、ロボットには人工知能(AI)アルゴリズム、慣性航法、磁気ビーコン補助の測位システムなどが組み合わされました。これにより、地層内で障害物を避け、最適なルートを計画し、掘削時の位置を精密に保つことを狙います。
- 200メートル範囲での3D測位誤差:0.3メートル未満
- 障害物回避の成功率:99.5%
ヒントはミミズ:地層内を自在に進む「多節構造」
移動方式は、土の中を進むミミズの動きに着想を得た生体模倣(バイオミメティクス)の多節構造だといいます。複数のセグメント(節)で構成することで、地層の中でも方向転換しやすく、全方向に機動できる設計を目指したとされています。
今後の用途:天然ガスハイドレートや深海レアアースへ
研究チームは今後、ロボットの総合性能をさらに高め、天然ガスハイドレート(海底下などに存在するメタン由来の氷状物質)や深海レアアースなどの重要資源の探査に活用する計画です。中国本土の国家的な深海科学掘削プログラムを支える技術として位置づけられています。
深海は「資源」「科学」「環境」の論点が重なりやすい場所でもあります。掘削と同時に地層の状態を細かく見える化するアプローチは、研究設計やリスク評価の精度をどう押し上げていくのか。今後の追加実証や適用範囲の広がりが注目されます。
Reference(s):
China debuts its first deep-sea drilling and in-situ monitoring robot
cgtn.com








