上海発「旗袍」がいま再生—周竹光氏の工房で進む“伝統の再構成” video poster
約1世紀前に中国本土・上海の街から世界へ広がった旗袍(きぽう、チャイナドレス)が、いま「懐かしさ」だけに留まらない形でよみがえっています。鍵になるのは、舞台衣装の記憶と、刺繍職人の手仕事、そして“解体して組み直す”という発想です。
「旗袍の再生」を支える、工房の静かな実験
周竹光(Zhou Zhuguang)氏の旗袍工房では、アイデアの出発点が古い演劇衣装であることが少なくないといいます。過去の衣装が持つ生地の使い方や装飾の文脈を読み取り、現代の服として成立するラインや構造へと置き換えていく。そこで重要な役割を担うのが、2人の熟練刺繍職人の存在です。
懐古ではなく「持ち運べる伝統」へ
周氏が取り組んでいるのは、伝統的な中国要素やモチーフをそのまま再現することではなく、いったん分解(deconstruct)して、別の形で組み込み直すことだとされます。伝統を“保存”するのではなく、“移植”する。そんな距離感が、いまの旗袍を「過去の衣装」から「現在の服」へ近づけます。
工房で起きていること(断片から見える輪郭)
- 古い演劇衣装がデザインのヒントになる
- 2人の熟練刺繍職人が、意匠の再構成を技術面で支える
- 伝統的要素やモチーフを“解体→再配置”してデザインに落とし込む
なぜ今、旗袍なのか——「伝統×現代」の作り方が変わってきた
伝統服の現代化は、しばしば「復刻」か「アレンジ」かの二択に見えがちです。ただ、周氏の工房が示しているのは、もう一つのやり方——伝統の意味や部品を読み替え、別の用途・別の場面で機能するように設計し直す方法です。
舞台衣装から始まるという点も象徴的です。舞台衣装は、日常とは異なる時間や世界観を凝縮し、装飾や象徴性をまとっています。そこから現代の服へ要素を引き出す工程は、伝統を「飾る」よりも「使える形に翻訳する」作業に近いのかもしれません。
世界へ広がった服が、いま工房から“もう一度”動き出す
旗袍は、かつて上海から世界へと広がったと語られてきました。そして2026年のいま、その“広がり方”は、流行としての拡散だけではなく、技術と解釈の更新として進んでいます。刺繍の手仕事が支える静かな革新は、伝統を未来へ運ぶための、遠回りに見えて確かな近道なのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








