中国の南極望遠鏡AST3-2、2025年の極夜観測を完了
中国科学院(CAS)は、南極高原の最高地点に位置するドームAの天文観測拠点で、2025年の「極夜」期間の夜間観測が無事に完了したと発表しました。人が現地に到達できない状況が続く中でも、遠隔で観測を積み上げた点が注目されます。
何が起きたのか:2025年の夜間観測シーズンが終了
CASによると、2025年8月25日に太陽電池の初回充電が行われ、極夜後の夜間観測シーズンが公式に終了しました。観測を担ったのは、南極内陸で稼働する望遠鏡として最大口径級とされる光学望遠鏡「AST3-2」です。
AST3-2とは:12年運用、越冬運用は3年連続
中国科学院・南京天文光学技術研究所(NIAOT)によれば、AST3-2はドームAでの運用が12年に及びます。さらに、越冬(冬季も継続稼働)運用は3年連続で達成しました。
特筆すべきは、南極内陸の拠点に3年間、保守要員が到達できない状況でも運用を継続し、2024年初頭の短時間の保守ののち通常運用を再開した、とされている点です。極地観測では「現地に行けないこと」自体が運用上の前提になり得るため、装置の堅牢性と遠隔運用の積み重ねが成果を左右します。
2025年シーズンの成果:データ3.5TB、実効観測1000時間
2025年の南極極夜観測シーズン中、AST3-2は遠隔で観測データを収集しました。公表された主な実績は次の通りです。
- 取得データ量:3.5テラバイト
- 実効観測時間:1000時間
データの内容としては、
- 高傾斜小惑星などの小天体・宇宙物体に関する応用研究
- 系外惑星に関する科学データ
- 超大質量ブラックホールの測光観測(明るさの変化を精密に測る観測)
が挙げられています。
極地の光学望遠鏡を支える技術:雪・霜・低温への対策
NIAOTが開発したAST3-2は第2世代の南極望遠鏡で、極地の運用を前提にした技術が盛り込まれていると説明されています。具体的には、
- 革新的な光学システム
- 防雪シーリング(雪の侵入を抑える密閉)技術
- 低温・防霜(霜付き対策)に関する要素技術
などです。極夜の長期観測は魅力がある一方、装置にとっては「凍る・曇る・埋もれる」といったリスクが日常的に発生し得ます。こうした“当たり前の困難”を前提に設計することが、観測の継続性につながります。
これからの焦点:大量データが何を語るか
今回の発表は「観測の完了」と「取得量の提示」が中心です。今後は、収集されたデータが小天体研究や系外惑星、超大質量ブラックホールの測光といったテーマで、どのように整理・解析され、知見として積み上がっていくのかが次の焦点になりそうです。
Reference(s):
China's Antarctic survey telescope completes 2025 night observations
cgtn.com







