中国の砕氷船「雪龍」アムンゼン海で南極海洋調査を開始
気候変動に敏感な海域として知られる南極のアムンゼン海に向け、中国の砕氷船「雪龍(Xuelong、英名Snow Dragon)」が第42次南極観測の海洋調査を本格始動しました。
4メートルのうねりの中、最初の観測機器を投入
中国の極地観測砕氷船「雪龍」はアムンゼン海へ航行中で、1月16日、航海中で最初となる使い捨て式の水温・水深プロファイラー(XBT)を海中に投入しました。現場は4メートルのうねりと強い西風という厳しい条件で、この投入が海洋調査作業の正式な開始を告げる合図になったとされています。
いつ・誰が調べる? 1月中旬から2月中旬までの集中フィールドワーク
報道によると、今回のフィールドワークは1月中旬から2月中旬にかけて実施され、中国の12の研究機関・大学から集まった31人の科学者が参加します。主な調査海域はアムンゼン海と、ロス海の一部です。
調査の焦点:海の「物理」と「生物」を同時に読む
ミッションは、海洋生態系と、それが環境変化にどう反応するかを捉えることに置かれています。具体的には、次のような観測・分析が計画されています。
- 中層〜表層の物理・生物データの収集
- 栄養塩の構造(海水中の栄養の分布や層構造)の分析
- 重要種の分布のモニタリング
- 海底地形の調査(海底の起伏や地形理解の改善)
海の温度や塩分などの“物理”だけでなく、生物や栄養の“循環”も同時に追うことで、海域全体の変化を立体的に描こうとする構えがうかがえます。
なぜアムンゼン海なのか――「気候に敏感」な最前線
アムンゼン海は、南極の中でも気候の影響を受けやすい海域の一つとされ、国際的な極域研究・気候研究でも重要な対象になっています。今回の調査も、こうした“変化の出やすい場所”で、海と生態系の応答を継続して捉える狙いがあります。
2018年から8年連続の観測、連続データが意味するもの
中国は2018年から8年連続でアムンゼン海における学際的(複数分野にまたがる)調査を実施してきたとされます。第42次南極観測の主席科学者であり、隊の責任者でもある魏福海(Wei Fuhai)氏は、長期・連続観測が複雑で速い海洋変化を捉えるうえで重要であり、地球規模の気候変動が海洋生態系へ与える影響評価に役立つデータになると述べたと伝えられています。
新装備も投入へ:係留観測・オキアミ漁網システム・無人機器の試験
今回の航海では、観測の「目」と「手」を増やす取り組みも進める計画です。報道では、
- 新しいエコ係留系(eco-mooring arrays)の展開
- 高度なオキアミ(krill)トロールシステムの活用
- 中国で開発された無人観測機器の試験
といった技術が挙げられています。荒天や氷の影響を受けやすい南極域では、観測の継続性そのものが難題になりがちです。だからこそ、係留系や無人機器のような“置いて測る”“遠隔で測る”発想が、データの連続性を支える柱になっていきそうです。
今月に始まったこの調査で、アムンゼン海とロス海の一部からどのような観測結果が積み上がるのか。海の変化を“点”ではなく“線”で捉える取り組みとして、今後の発表にも注目が集まります。
Reference(s):
China's icebreaker Xuelong launches Antarctic survey in Amundsen Sea
cgtn.com








