止まらない日常と冬のリズムのズレが、疲労感や頭のもやもや(ブレインフォグ)、胃腸の不調、体の重だるさとして表れやすい――。そんな問題意識が、2026年の冬にも静かに広がっています。
現代は「止まらない」ことが標準になった
夜遅くまで光る画面、急いで済ませる食事、あるいは食事を抜く日。個人の価値が「生産性」で測られがちな空気も相まって、季節の移ろいは気づけば通り過ぎ、年の輪郭さえ曖昧になります。
遅れまいとして脳は前へ進み続けますが、体は負荷を受け止め、あとから形にして返してきます。疲れ、集中しづらさ、消化の違和感、そして“なんとなく重い”感覚が「新しい普通」になってしまう――そんな感覚に心当たりがある人も多いはずです。
中医学が捉える冬:外へ攻めるより、内へ整える季節
この冬の健康を扱った連載の第1回(2025年11月23日)では、中医学(TCM)が冬を休息・内省・エネルギーの温存に向く時期と見なし、日々の小さな選択や習慣でそれを取り入れる人々の姿が紹介されました。
ポイントは、「頑張る/休む」を気合で切り替えるのではなく、季節と生活のテンポを揃えるという発想です。
冬に“刺激過多”が続くと何が起きるのか
ところが現代のルーティンは、寒くて日が短い時期でも速度を落としません。むしろ、カフェインや強い情報刺激で押し切り、食事も偏りがちになります。
中医学の見方では、こうした「季節に対して生活が加速し続ける状態」は、消化のはたらきを弱め、体内の「湿(しつ)」――重さ・だるさ・鈍さに結びつく状態――に関わるとされます。連載の第2回(2026年1月11日)では、この点に着目し、食事の小さな調整で予防や緩和を目指す考え方が整理されました。
「燃え尽き」が自慢にならない時代へ
この“ズレ”は、とりわけ若い世代で強く意識されるようになっているといいます。ミレニアル世代では「バーンアウト(燃え尽き)」を働き方の勲章のように語りにくくなり、デジタルにつながり健康意識もあるはずのZ世代でも、「つながっているのに疲れている」という言葉が聞かれます。
ここには、情報の多さだけでなく、季節に応じて休む“許可”を出しにくい社会の空気も重なっていそうです。
今日から考えたい「冬の減速」3つの視点
- 刺激を足す前に、まず引く:夜の画面時間やカフェインなど、「押し上げる道具」を増やす前に減らせる余地を探す。
- 食事を“整える装置”として扱う:抜く・急ぐ・偏るが続くと不調のサインが出やすい。できる範囲で、体が受け取りやすい形に寄せる。
- 季節の設計図に合わせる:冬は外へ広げるより、内側を守る。予定の詰め方や休み方を「冬仕様」に微調整する。
速さが前提の世界で、あえて減速を“技術”として持つ。中医学が語る冬の知恵は、懐古趣味というより、現代の疲れ方に対する静かな処方箋として響き始めています。
Reference(s):
Slowing down in a fast world: Why ancient Chinese wisdom resonates
cgtn.com







