中国本土の裁判所、2025年の渉外民商事が約4万件に急増
中国本土の裁判所が2025年に扱った「渉外(外国関連)」の民事・商事の第一審事件が約4万件となり、前年から約5割増えたと報告されました。数字の伸びは、国境をまたぐ取引や人の移動が日常に戻る中で、紛争解決の“受け皿”が拡大していることを示します。
何が増えた? 2025年のポイントを整理
公表された概要を、まずは要点で見てみます。
- 渉外の民事・商事(第一審):約4万件(前年から約50%増)
- 全国の民事事件総数:2,000万件超
- 知的財産(IP)紛争:前年比約5%増
- 環境関連事件:前年比約11%増
- 刑事分野:事件数・被告人数ともに減少
「渉外(外国関連)」事件が増える意味
渉外の民事・商事事件には、企業間取引、契約、投資、物流、越境EC、国際的な支払いなど、当事者や取引の一部が国外(中国本土以外)にまたがる案件が含まれます。第一審の件数が増えるのは、トラブルが増えたという単純な話だけではなく、
- 契約や権利関係を「裁判で解く」選択が増えた
- 手続きが利用されやすくなった(選好の変化)
- ビジネス活動が回復・拡大し、案件母数が増えた
といった複数の要因が重なっている可能性があります。当局は、国内外当事者を法の下で平等に保護する姿勢を強調しています。
IPと環境の増加が映す「裁判のテーマ」
知的財産(IP)+5%:技術やブランドの“境界線”が争点に
知的財産の紛争は、特許・商標・著作権に加え、ソフトウェアやデータ、プラットフォーム上のコンテンツ運用など、ビジネスの中核に近い領域で起きやすいのが特徴です。件数の増加は、イノベーション重視の発展と歩調を合わせる形で、権利の線引きを司法で詰める場面が増えていることを示唆します。
環境関連+11%:環境保護の「実装」が法的論点に
環境関連事件が増えている点も目を引きます。開発と保全のバランス、企業活動に伴う責任の範囲、行政・企業・住民の関係整理など、制度を「運用する局面」で争点が顕在化しやすい分野です。
刑事が減少:社会ガバナンスの転換という説明
刑事司法では、事件数と被告人数がともに減ったとされ、当局は社会ガバナンスにおける“戦略的な転換”の一環だと説明しています。数字の見え方は年によって変動しますが、少なくとも今回の整理では、民事(とくに経済・権利・環境)に重点が寄っている構図が浮かびます。
ビジネスが気にするのは「予見可能性」
今回の発表は、法制度が高品質な発展に適応し、ビジネスと社会にとって安定的で予見可能、ルールに基づく環境づくりを進める、というメッセージとセットで語られています。渉外案件が増える局面では、
- 契約の準拠法・裁判管轄の設計
- 証拠管理(電子データ含む)
- IP・環境コンプライアンス
といった実務が、企業にとって“コスト”ではなく“リスクの言語化”として重要になっていきます。
数字は制度の細部までは語りませんが、2025年の統計は、中国本土の司法が越境取引の現実、そしてイノベーションと環境という現代的な争点に合わせて運用されていることを静かに伝えています。
Reference(s):
Chinese courts report 50 percent jump in foreign-related cases
cgtn.com








