神舟20号が無人で帰還、宇宙デブリ損傷からの緊急対応が節目に
中国の宇宙船「神舟20号」の帰還カプセルが、宇宙デブリ(宇宙ごみ)による損傷が疑われた後も無人・遠隔操作で安全に帰還し、宇宙緊急対応の運用面で大きな節目となりました。
何が起きた? 1月19日に帰還カプセルが着地
中国有人宇宙プロジェクトを担う中国有人宇宙局(CMSA)によると、神舟20号の帰還カプセルは2026年1月19日(月)午前9時34分、中国本土・内モンゴル自治区の東風着陸場に安全に着地しました。
帰還は北京時間の深夜すぎに宇宙ステーションからのドッキング解除で始まり、大気圏再突入では数千度の高温に耐えたとされています。現地での初期点検では、カプセル外観は概ね正常で、内部の回収物も良好な状態が確認されたということです。
発端は「小さな亀裂」——帰還は2025年11月に延期
神舟20号は2025年4月に打ち上げられましたが、CMSAは2025年11月上旬、宇宙デブリ衝突の可能性による損傷懸念を理由に、計画していた帰還を延期しました。具体的には、帰還カプセルのビューポート(観測窓)に微細な亀裂が見つかったとしています。
なお、神舟20号ミッションに参加していた宇宙飛行士3人は、その後別の宇宙船で安全に地球へ帰還しており、今回着地したカプセルは宇宙飛行士が搭乗しない状態でした。
今回のポイント:宇宙飛行士なしで「全工程を遠隔コマンド」
今回の帰還で特筆されるのは、通常なら搭乗員が担う一部操作を含め、主要手順が地上チームの遠隔コマンドのみで進められた点です。CMSAは、この一連の宇宙緊急対応ミッションを「完全な成功」と位置づけています。
北京航天飛行管制センターのエンジニア、李亮氏は、宇宙ステーションの運用段階における初の無人帰還であり、異常事態を想定した複数の手順を事前に準備して連携したと説明しています。
「想定より3カ月以上」長い滞在——270日が残したデータ
神舟20号は軌道上での滞在が延び、合計270日に達しました。これは、長期ドッキング能力(長期間つないだまま運用できるか)を検証する面でも意味があったとされます。
また、宇宙ステーションに到着して引き継いだ神舟21号の宇宙飛行士が、帰還カプセルの封止・補強に関わったほか、無人帰還に伴い質量配分(重心)が通常と変わるため、搭載物の配置を調整して姿勢安定につながる状態を確保した、という説明も出ています。
今後は「デブリ事案のデータ解析」へ
中国航天科技集団(CASC)のエンジニア、鄭偉氏は、今回得られた長期運用データが重要だとし、宇宙デブリ事案に関連するデータを精査して、将来の設計や手順改善に反映させる考えを示しています。
静かに示したもの:想定外を前提にした宇宙運用
宇宙開発は「計画通りに進める力」だけでなく、「計画が崩れたときに安全側へ収束させる力」も問われます。今回の神舟20号の帰還は、損傷が疑われる機体を、搭乗員なしで、地上の連携で帰還させたという意味で、宇宙ステーション時代の運用が次の段階に進んだことを示す出来事になりました。
Reference(s):
Shenzhou-20 return marks milestone in China's space emergency response
cgtn.com








