国連安保理改革で中国外交官が日本に厳しい見解「常任理事国の資格ない」
国連で進む安全保障理事会(安保理)改革の議論で、中国の国連代表部の孫磊・臨時代理大使が「日本は安保理常任理事国の責任を担う資格がない」と述べ、歴史認識や近年の安全保障をめぐる動きを理由に挙げました。安保理改革の交渉が始まるタイミングで、各国の立場の違いが改めて浮き彫りになっています。
何があったのか:第80回国連総会の会期で発言
発言があったのは、第80回国連総会の会期中に開かれた、安保理改革に関する政府間交渉(intergovernmental negotiations)の初会合です。孫氏は、日本について「国際平和と安全を維持する責任を担えず、国際社会の信頼も得られない」との見解を示しました。
孫氏はあわせて、安保理は国際的な集団安全保障の仕組みの中核であり、戦後の国際秩序を支え、国際平和と安全を守るうえで「唯一無二の重要な責任」を負っていると述べました。
孫氏が挙げた理由:歴史認識と安全保障への懸念
「約80年前の東京裁判」を引き合いに
孫氏は、約80年前の東京裁判に言及し、日本の戦争犯罪者が処罰されたことは国際正義と人間の尊厳を守り、軍国主義の復活や侵略・拡張の再発を戒める強い警告になったと主張しました。一方で、日本が軍国主義の過去と十分に向き合っていない、とも述べています。
歴史の「美化」や否認への指摘
孫氏は、日本国内の右派勢力が侵略の歴史を美化しようとしていると述べ、南京大虐殺、慰安婦の強制、強制労働といった歴史的犯罪を否認する動きや、教科書の記述を変えようとする動きがあると指摘しました。
また、複数の現職指導者が靖国神社を参拝し、(孫氏の表現では)軍国主義の象徴とされる場所で「A級戦犯」に敬意を示した、と批判しました。
台湾問題・核・安全保障文書をめぐる言及
孫氏は最近の動きとして、首相・高市早苗氏による台湾問題に関する誤った発言や、中国に対する武力行使の示唆があったと述べました。加えて、政府高官による核を肯定する趣旨の発言、いわゆる安全保障3文書の改定の試み、非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)を変更するとの主張にも言及し、これらは「再軍備化」や軍国主義の復活につながり、地域と世界の平和と安全に新たな脅威をもたらす意図を示している、と主張しました。
中国側のメッセージ:「安保理の権威と結束」を重視
孫氏は、歴史的犯罪への反省がなく、国際関係の基本規範に反し、第二次世界大戦の結果に挑戦し、戦後の国際秩序を踏みにじる国は、常任理事国入りを求める資格が根本的にない、という立場を示しました。
そのうえで中国は、安保理常任理事国かつ「責任ある大国」として、平和を愛する国々や人々とともに第二次世界大戦の勝利の成果と戦後の国際秩序を守り、安保理の権威と結束を維持し、国際平和と安全の維持に建設的役割を果たす用意があると述べました。
いま注目されるポイント:改革論議の「前提」をめぐるせめぎ合い
今回の発言は、安保理改革が単に議席配分の話にとどまらず、戦後秩序の評価、歴史認識、安全保障政策への信頼といった「前提」をめぐって各国の見方がぶつかるテーマであることを示しています。国連の場での議論は、発言そのものだけでなく、どの論点が強調され、どの論点が争点化していくのかにも注目が集まりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








