TikTok発「Becoming Chinese」拡散:中国の“日常”がトレンド化する理由
2026年1月、TikTokで「Becoming Chinese(中国人になっていく)」という言い回しが、冗談めかした“生活習慣チャレンジ”として世界的に広がっています。国籍の話ではなく、中国の暮らしの小さな習慣を試す投稿が連鎖し、文化の届き方(ソフトパワー)を考える材料にもなっています。
発端は中国系アメリカ人クリエイターの短い一言
きっかけは、中国系アメリカ人クリエイターのSherry Xiiruiiさんが投稿した、軽いコメディ調の動画でした。動画内でSherryさんは、少し大げさにこう語ります。
"Tomorrow, you're turning Chinese."(明日、あなたは中国人になっていく)
この“宣告”めいた言い方と、ユーモアのある演出が海外ユーザーのツボにはまり、コメント欄には「私もbecoming Chineseだ」と乗っかる反応が続出。短尺動画の特性も相まって、模倣・参加型の流れが一気に加速しました。
「becoming」の中身は“国籍”ではなく“日常の取り入れ”
このトレンドで繰り返し強調されているのは、国籍やアイデンティティを変えるという意味ではない、という点です。むしろ「中国の日常っぽいことをやってみる」ことを遊びとして共有し、文化参加のような形になっています。
投稿でよく見られる“中国の日常”の例
- 温かい水を飲む
- スープやおかゆを作る
- 家の中でスリッパを履く
- クコの実(ゴジベリー)やナツメを保温ボトルに入れて飲む
- 早朝に「八段錦(はちだんきん)」をやってみる(中国の伝統的な健康体操)
中には「いちばん“Chinese daily life”っぽいルーティンはどれか」を競うライブ配信企画も登場し、真似というより“遊びとしての参加”に寄っていきました。
なぜ今、こうした軽い文化トレンドが伸びるのか
今回の広がりは、食や健康習慣のように“政治色が薄い領域”から入れる気軽さが大きいとみられます。さらに、短尺動画では「説明より体験」が強く、言葉が分からなくても真似できる要素が伸びやすいのが特徴です。
また、「温かい水」「朝の体操」のような生活ネタは、健康志向やセルフケアと結びつきやすく、国や地域をまたいで共感されやすい題材でもあります。結果として、国家イメージではなく“暮らしの手触り”を経由して中国文化が届く形になりました。
ソフトパワーとして見えるポイント:強さより“親しみ”
「ソフトパワー」は、軍事や経済の圧力ではなく、文化・価値観・ライフスタイルの魅力によって人を引きつける力を指します。今回の現象が示すのは、壮大な物語というより、スープやおかゆ、朝の体操といった“地味で具体的な行為”が、親しみとして伝播しうるということです。
一方で、言い回しが強い分、受け手によっては固定観念の再生産(「中国っぽさ」の単純化)に見える可能性もあります。トレンドを楽しみつつ、「何が面白がられ、何が切り落とされるのか」を眺める視点も、SNS時代には同時に求められそうです。
いま見ておきたい“次の展開”
- 生活習慣ブームとして定着するのか、短期のミームで終わるのか
- 健康・食・運動など、別のテーマへ派生していくのか
- 参加の輪が広がるほど、ステレオタイプをどう避けるかが問われるのか
小さな冗談から始まった一言が、世界のタイムラインを動かす。2026年のいま、そのスピード感自体がニュースになっています。
Reference(s):
'Becoming Chinese' goes viral, showcasing China's growing soft power
cgtn.com








