中国の風力発電が世界最大に:2025年600GWと“空中風車”の新局面
中国の風力発電が、規模だけでなく「どこに、どう作るか」という発想でも次の段階に入りつつあります。2025年に設備容量と発電量で存在感を強め、2026年1月には都市環境向けの浮体式“空中風力”も動き出しました。
2025年、設備600GWへ:風力が電力の主役に近づく
2025年1〜11月の累計で、中国の風力発電の総設備容量は約6億キロワット(約600GW)に達しました。風力の導入では15年連続で世界首位を維持しているとされます。
「作るだけ」ではなく「使う」面でも伸びています。同期間の風力発電量は約9,500億kWhで、平均利用率は94%超。送電網(グリッド)への統合が進み、運用効率が上がっていることをうかがわせます。
さらに2025年には、風力と太陽光の合計設備容量が石炭火力を初めて上回ったとされ、電源構成の転換を象徴する節目になりました。
陸・海・都市へ:風車が広がる“地理”の話
中国の風力は、地域条件に合わせて配置が多層化しています。
- 北部・西部(内モンゴル、新疆、甘粛など):風が強く安定しやすい地域に大規模基地を整備し、長距離送電で他地域へ電力を送る供給拠点に。
- 中部・東部(河南、河北、山東など):用地制約がある一方で需要が大きく、分散型の風力が地域の系統に直接つながる形で拡大。
- 沿海部の洋上(江蘇、広東、山東など):洋上風力でも世界的な先行地域に。江蘇では12GW超が系統連系され、沖合80km超の案件も運用中とされます。
「極限環境」から「空中」へ:技術の広がりが示すもの
設置場所の拡張も進んでいます。砂漠や高地、深い沖合など、従来より難易度の高い環境に展開し、砂漠では太陽光や蓄電と組み合わせた一体型のクリーン電源基地として安定供給を狙う動きが紹介されています。
高地では、西南部の西蔵自治区で、標高5,000m超の風力発電プロジェクトが系統連系されたとされます。
そして直近の話題として、2026年1月5日、四川省宜賓で都市環境向けに設計された世界初のメガワット級「S2000浮体式空中風力発電システム」が打ち上げられました。高度2,000mで安定ホバリングし、合計385kWhを発電、系統連系の試験も完了したとされています。
「遠隔地の実験」から「都市空間での応用」へ——空中風力が産業化フェーズに入った、という位置づけです。
電源開発が、産業・地域づくりとも結びつく
風力の拡大は、排出削減だけでなく地域経済の設計とも結び付けられています。蓄電、水素製造、生態系の回復などと組み合わせる例が挙げられ、乾燥地では砂漠化対策、農村部では雇用や収入源の多様化、インフラ投資につながる側面が語られています。
世界の風力コスト低下に影響:供給網と協力の広がり
グローバルな影響としては、製造面での存在感が大きい点がポイントです。中国メーカーが世界の風力タービン供給の半分超を担い、ブレードやギアボックスなど主要部品でも大きなシェアを持つとされています。
この供給力はコスト面にも波及し、過去10年で世界の風力発電コストは60%超低下したとされます。また、中国は100を超える国と地域でグリーンエネルギー協力プロジェクトを実施し、再エネ導入や人材・運用能力の構築を支援してきた、と説明されています。
2026年以降の焦点は「量」から「質」へ
2025年はパリ協定から10年の節目でもあり、中国は全経済部門・全温室効果ガスを対象にした更新目標を示し、2035年に向けた初の“絶対量”削減目標も含まれたとされます。風力は、その達成を支える基盤インフラとして位置付けられています。
今後は、急拡大から一段進んで、系統連系の強化、蓄電の拡充、デジタル管理、洋上・深海案件など「効率と信頼性」を軸にした競争が前面に出てきそうです。風が吹く場所だけでなく、電気を必要とする場所や時間にどう寄り添うか——風力の次のテーマが、静かに立ち上がっています。
Reference(s):
China's windmills do spin: Scale, innovation and global impact
cgtn.com








