バラの「宇宙種子」帰還:PH-1 Yao-1が亜軌道実験に成功(1月23日)
中国本土の商業宇宙企業CAS Spaceが開発したロケット「PH-1 Yao-1」が亜軌道の試験飛行を成功させ、宇宙放射線などにさらしたバラの種子を回収しました。ペイロード(搭載物)は2026年1月23日に引き渡されたとされています。花の育種(新品種づくり)に宇宙環境を使う取り組みが、また一歩具体化しました。
何が起きたのか:亜軌道飛行で種子を回収
今回の試験では、PH-1 Yao-1が高度約120kmまで到達し、宇宙空間の目安とされるカーマン・ラインを越えたとされています。ロケットは低コストかつ柔軟な亜軌道フライトと、信頼性の高いペイロード回収を特徴に掲げています。
- 到達高度:約120km
- 安定した実験条件:300秒超
- 目的:微小重力(ほぼ無重力に近い環境)実験やニアスペースでのその場研究
なぜ「バラの種」を宇宙へ? 狙いは“有用な変異”
種子は、優れた形質(性質)を持ち、病害への抵抗性やストレス耐性が高いものが選ばれたとされます。宇宙放射線や微小重力といった地上とは異なる環境にさらすことで、育種に役立つ変異が生まれる可能性がある、という考え方です。
今回の説明では、将来的に次のようなバラにつながる可能性が示されています。
- 花期が長い(長く咲く)
- 病害に強い
- 色や特徴がユニーク
帰還後はどうなる:河南省南陽で体系的に栽培へ
回収された「宇宙種子」は、中国本土・河南省(中部)の南陽にある国家バラ遺伝資源保存施設で、体系的に栽培・評価される計画です。宇宙で起きた変化は、種をまいた時点で“すぐに分かる”ものばかりではありません。複数世代にわたり、形・色・香り・耐病性などを丁寧に選抜していく工程が要になります。
花だけの話ではない:食料・農業分野にも広がる「宇宙育種」
この取り組みは、花に限らず穀物や野菜にも応用できる「航空宇宙×育種」のモデルになり得る、と説明されています。亜軌道飛行で回収まで含めて実験を回せることは、研究の反復性(同じ条件で繰り返せること)という意味でも重要です。
一方で、宇宙環境がもたらす変化は多様で、望む性質にたどり着くまでには時間がかかることもあります。宇宙という“極端な環境”を入口にしつつ、地上での地道な選抜・評価がどこまで成果を引き寄せるのか。今後は、南陽での栽培結果が静かに注目点になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








