新疆のウルムチ~ユリ高速が開通、天山22kmトンネルで南北が20分に
2025年12月26日、中国本土の新疆ウイグル自治区で「ウルムチ~ユリ高速道路」が開通しました。天山山脈を貫く全長22kmの「天山勝利トンネル」により、これまで数時間かかっていた山越えが約20分に短縮されたという点で、地域の移動と物流の前提を大きく変えそうです。
何が開通したのか:300km超の新しい大動脈
ウルムチ~ユリ高速道路は、氷雪に覆われる山岳地帯を縫うように延びる延長300km超の路線です。新疆の道路ネットワークにおける「南北を結ぶ中核動脈」と位置づけられ、冬季の移動制約が大きかった天山山脈の横断を現実的な選択肢にしました。
最大の焦点:世界最長の高速道路トンネル「天山勝利トンネル」
今回のプロジェクトの象徴が、全長22kmの天山勝利トンネルです。断続的な冬季閉鎖や大きな迂回を生みがちだった高標高の山越えを、トンネルで“地下に通す”ことで交通の安定性を高めました。
ポイント(分かること)
- 天山山脈がつくってきた「北と南の分断」を、所要時間の面で大きく縮めた
- 高標高の曲がりくねった区間に依存していた移動のリスク(時間のブレ)を減らした
- 冬の移動が「運次第」になりやすい地域で、定時性が物流価値になる
「数時間」から「20分」へ:時間短縮が意味するもの
従来、天山山脈の横断は標高4,000mを超える区間を含むルートを走り、天候や路面状況によっては通行止めや大きな遠回りが発生していました。トンネル開通によって横断が約20分になったことで、移動の“総量”だけでなく、到着時間の“読みやすさ”も変わります。
例えば、通院や通学、帰省など日常の移動は「行けるかどうか」から「いつ着くか」へ関心が移りやすく、企業活動では在庫・配送計画が立てやすくなります。インフラの変化は、生活のリズムにじわりと浸透していくタイプのニュースです。
物流と結節点:自由貿易試験区の3エリアを“線”でつなぐ
発表によると、この高速道路は新疆パイロット自由貿易試験区の3エリア(ウルムチ、カシュガル、ホルゴス)を結ぶ“新たな輸送の生命線”としても位置づけられています。点在する拠点を「線」で結ぶことで、次のような変化が起こり得ます。
- 物流の効率化:輸送時間の短縮と、冬季の不確実性低下によるスケジュール最適化
- 広域連携の強化:都市・産地・物流拠点の組み合わせが増え、役割分担が組みやすくなる
- 移動の選択肢:遠回りや峠越えに頼らないルート設計が可能になる
2026年1月現在、今後の注目点は
開通はゴールではなく運用の始まりです。今後は、冬季の交通量の推移、トンネル内外の安全運用(事故対応・維持管理)、周辺道路との接続性などが、生活者と物流の双方にとっての体感を左右します。時間短縮がどの地域に、どんな形で波及するのか。2026年は、その輪郭が少しずつ見えてくる年になりそうです。
「山を越える」から「山を貫く」へ——所要時間の短縮は、移動の心理的な距離も変えていきます。
Reference(s):
Through ice and peaks: Urumqi–Yuli Expressway breaks Tianshan barrier
cgtn.com








