中国の観測船「雪龍」、第42次南極遠征で水深4000m超の深海調査
中国の研究用砕氷船「雪龍(Xuelong/スノードラゴン)」が今月(2026年1月)24日、第42次南極遠征の最初の観測地点にあたるアムンゼン海の海洋観測ステーションに到達し、深海の本格調査を始めました。海水の塩分・水温から酸性度(pH)、温室効果ガス、微小プランクトンまでを一度に追う“多層サンプリング”が、短期集中で進められています。
到達した「最初の観測点」は水深4000メートル超
雪龍が最初に入った観測点は水深4,000メートルを超え、今回の観測点群のなかでも最も深い地点だといいます。船は午前1時に最初の海洋観測ステーションへ到達し、乗組員は到着直後から観測機器の投入を開始しました。
CTDで“海の断面”を測る:塩分・水温を深さごとに
投入されたのはCTD(Conductivity, Temperature and Depth)と呼ばれる観測装置で、海水の電気伝導度(塩分の推定に使われます)・水温・水深を測定します。深い海ほど作業の時間も伸び、平均60メートル/分の降下速度でも、海面から海底まで下ろすだけで1時間以上かかるとされています。
24本の採水ボトルで、全層からサンプルを確保
CTD装置には24本の採水ボトルが取り付けられており、所定の深さごとに海水を採取します。回収後、サンプルは深さ情報に対応づけられたまま手早く容器に分けられ、研究室で前処理(分析のための準備)に回されました。海の「表面」だけではなく「全層」から取る点が、今回の観測の大きな特徴です。
何を調べている? pH、温室効果ガス、微小プランクトン
船上の研究者らによると、採水は複数テーマの同時進行に直結しています。
- 海洋酸性化の手がかり(pH):海水のpHは酸性度の指標で、海の化学環境の変化を追ううえで重要なパラメータだといいます。
- 海水中の温室効果ガス濃度:全水層のサンプルが必要とされ、深さ方向の分布を捉える狙いがあります。
- 微小プランクトン:量(豊富さ)や種組成(どんな種類がどれだけいるか)を調べるため、こちらも全層のサンプルが求められます。
塩分・水温の物理データと、pHやガス濃度、生物データを同じ地点・同じ時間帯に重ねることで、海の状態を“立体的”に読み解く足場が整います。
採水後も続く作業:トロールとコア採取へ
水のサンプリングを終えると、チームは次の観測工程に移りました。報告されている作業には、垂直方向の生物採集(生物の鉛直トロール)、オキアミのトロール、中層魚のトロール、そして重力式コア(海底堆積物の柱状試料)の投入が含まれます。水柱(海水の層)だけでなく、生物相や海底環境にも視野を広げる構成です。
18日間で20地点以上へ:短い“南極の窓”をどう使うか
雪龍は南極域での計画滞在期間を18日間とし、その間に20地点以上で作業を行う予定だとされています。海況や作業条件に左右されやすい海域だからこそ、到着直後から観測を回し、採水・生物・海底試料を連続して積み上げる運用が鍵になります。今後の観測の積み重ねが、海の変化をより細かな解像度で描く材料になりそうです。
Reference(s):
China conducts deep-sea research on 42nd Antarctic expedition
cgtn.com








