輸出規制下でもASMLにとって中国本土は重要市場、将来売上の2割見通し
半導体製造装置大手ASMLのロジャー・ダッセンCFO(最高財務責任者)は2026年1月28日、今後の売上の約20%を中国本土向けが占める見通しを示しました。最先端装置への輸出規制が続く中でも、中国本土市場の存在感が改めて注目されています。
中国本土向けは「将来売上の2割」──CFOが見通し
ダッセンCFOは決算発表に合わせたビデオインタビューで、中国本土ビジネスがASMLの将来収益の約20%を占めると説明しました。ASMLは半導体の量産に欠かせないリソグラフィ(回路パターンをウエハーに転写する工程)の装置・ソフトウェア・サービスを供給する中核企業として知られます。
売上の「いま」を示す数字:純システム売上の33%
CNBCによると、中国本土は前年(直近年)にASMLの純システム売上の33%を占めました。将来見通し(約20%)と直近実績(33%)には差がありますが、輸出規制や製品構成の変化、需要の波を織り込んだ見立てだと受け止められます。
EUVは未納入、DUVも対象に──輸出規制の枠組み
ロイターによると、米国は2018年以降、オランダ拠点のASMLに対し、最先端のEUV(極端紫外線)露光装置の対中輸出を見合わせるよう働きかけてきました。ASMLによれば、これまで中国本土にEUV装置は1台も納入されていません。
さらに規制は、より成熟した世代で広く使われるDUV(深紫外線)露光装置にも及ぶとされています。結果として、中国本土側の半導体供給網の高度化に向けた取り組みは、装置調達面で制約を受けやすい状況が続いています。
中国本土は国産化を加速:2024年に示された露光装置の目標
輸出制約が続く一方で、中国本土は自前の技術育成にも軸足を移しています。2024年には工業情報化部が、露光装置の国内生産を高度化する方針として、65nm解像度や8nmオーバーレイ精度(重ね合わせの位置ずれを抑える指標)といった仕様に言及しました。
対外的な取引・協力の余地を残しつつ、長期で産業基盤を積み上げる戦略が読み取れます。
AIチップ市場の拡大が「協力」を押し上げる可能性
科学技術日報によれば、中国本土のAIチップ市場は2028年までに1兆元(約1400億ドル)を超え、世界市場の約30%を占める見通しだとされています。市場が拡大すれば、装置・材料・設計・パッケージングなど複数の層で国際企業と中国本土企業の接点が増えやすくなります。
今回のポイント(短く整理)
- ASMLは輸出規制の中でも、中国本土が将来売上の約20%を占めると見込む
- 直近年の純システム売上では中国本土が33%を占めたというデータもある
- EUVは未納入、DUVも規制対象となり得る一方、中国本土は国産化を加速
- AIチップ市場の成長が、分断ではなく実務的な協業領域を生む可能性もある
輸出管理は技術の流れを細くしやすい一方、需要そのものまで消すとは限りません。規制、国産化、そしてAI需要拡大という3つの力学が同時に進む2026年、ASMLと中国本土市場の関係は「縮む」のか「形を変える」のか。数字の変化は、その温度感を映す鏡になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








